学校での成績は優秀だったのに、会社の中では思ったほど仕事ができない人って、いますよね。
論理的思考はちゃんとできるはずなのに、なぜかできていないと指摘されてしまう・・・。
どうして、こんなことになるのかというと、ビジネスの現場と学校とでは、論理的思考の種類が違うからなんです。
仕事ができるようになるためには、どんな論理的思考をすればいいのかを、解説します。
【目次】
論理的思考は、実は一種類だけではない
ところで、みなさんは「論理的思考」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?数学や物理でやっているみたいな、数字やデータを使って考えることと思っている人も多いのではないでしょうか。
確かに、数字やデータには客観性があるので、論理的な思考の中ではよく使われますが、数字やデータを使えば必ず論理的になるかというと、そうでもないんですね。
論理については別の記事で紹介しているので、よかったら参考にしてください。(コチラ→論理的な思考力を身につけて、仕事のデキる人になる!!)
多くの人は、論理的思考については、学校で教えてくれていると思っています。そして、ビジネスの現場で必要とされる論理的思考も、学校で教えてくれる論理的思考も同じものだと思っています。
だから、「学校の成績が優秀なら、仕事もできるはず」と思ってしまうんですよね。
でも、実際にはビジネスの現場で必要とされる論理的思考と、学校でならう論理的思考とは、真逆のものなんです。では具体的に、どのように真逆になるのかを解説します。
ビジネスの論理的思考と学校の論理的思考の比較
逆算と積み上げ
ビジネスでは、納期が重要視されます。ちゃんと決められた日までに仕事を完成させて、お客様に引き渡さないといけません。
この日までに仕事を完成させないといけないという期日が決まっているので、その期日までに間に合うように、逆算していって、いつまでにどれだけ進めておかないといけないかを決めるんですね。
万が一、「納期に間に合いませんでした!」なんてことになったら、信用を落としてしまい、取引してもらえなくなってしまいます。だから、ゴールから逆算して考えるのが、基本になるわけです。
一方、学校では、ゼロから積み上げて考えるのが基本です。答えを出すまでのプロセスが重要視されるので、とにかく答えさえ出ればOKというものでないんですね。(真理の探究を重んじる大学は特に。)
学問では、最初から答えが分かっているというわけではありません。何が正しいのかを、試行錯誤を繰り返しながら、求めていくんですね。ゼロから積み上げていくため、時間がかかるし、ゴールから逆算するわけでもないから、段取りも組めないんです。
仕事の段取りがうまく組めないという人は、学者タイプの論理的思考をしている人で、ゴールから逆算せずに、ゼロからの積み上げで考えてしまっているから、期日前になってバタバタしたり、下手をすると間に合わなかったりするんですね。
「先に答えを見る」と「自分の頭で考える」
ビジネスの現場では、答えはだいたい決まっています。早く答えにたどり着くために、先に答えを見てしまうんですね。カンニング、パクリはビジネスの世界では、当たり前です。
学校の試験では、カンニングなんてしたら、不正行為でペナルティを受けますが、ビジネスの世界では、答えはどんどん見るべきものとされているんですね。他人のいいアイデアなんかも、パクッてアレンジしていき、自分のものにしていきます。
学校の夏休みの宿題を真面目にやらずに友達に写させてもらったり、不良で全然勉強しなかったりする子の中に、なぜか社会に出て出世する子がいるという理由でもあります。
一方、学校では、答えを導き出すための考える力が身につかなくなるので、答えを見るのはNGです。時間がかかってでも、自分の頭で考えることを重視するんですね。これこそが、真面目な人が、仕事が遅い理由です。
少しでも分からないことは知っている人に聞けばいいのに、自分の頭で考えようとしてしまうんですね。他人に聞けば一瞬で解決するようなことも、自分で考えてしまうため、時間がかかってしまいます。
たいてい質問もせずに自分で考え込んでしまうので、上司にもあまり相談がありません。下手をすると、自力で解決しようともがいたあげくに、上司にしてみたら「何でもっと早く相談に来なかったんだ!?」という状態になっていたりすることも・・・。
「全体を見る」と「一部を細かく見る」
ビジネスの世界では、先に答えを見て、全体像を把握します。期日までに仕事の全体が完成していることが大事だからです。
部分的には完成度に問題があったとしても、全体的に見て問題なければ、それでOKになるんです。
逆に、学者タイプの人は、一部を細かく掘り下げていってしまいます。完璧主義なので、完成までに時間がかかってしまうんですね。
しかも、全体を見ないので、バランスも悪いんです。仕事の納期が来てしまっても、一部は完璧に仕上げっているけど、他の部分は全く手つかずの状態になってたりするんです。
全体がちゃんと仕上がっていないと、お客様に引き渡すことってできないですよね。だから、問題になってしまうんです。
ビジネスの現場と学校が真逆になる理由
これまでの解説で、ビジネスの現場と学校とでは、論理的思考が真逆になるということが、おわかりいただけたと思います。
どうしてここまで真逆になるのかというと、「答え」があらかじめ、あるかどうかなんです。
ビジネスでは、お客様や上司が求めるハッキリした答えがあります。その答えを、いかに早く効率よく出せるかが、ポイントになるんですね。
逆に、学問の世界では、ハッキリした答えはわかりません。答えを求めて、試行錯誤するんです。
ビジネスでは、契約を取り交わして、何を、いつまでにするのかが、ハッキリしているので、答えを考えることは少ないんです。
仕事ができるようになるためには、思考を切り替える
これで、学校の中では優秀だったのに、なぜか仕事ができない理由がハッキリしたと思います。
理由さえわかってしまえば、対策を取るのは簡単です。考え方を切り替えればいいんですね。
ビジネスの現場では、いかに早く効率よく答えを出すかを重視します。だから、余計なことを考えずに済む、思考の公式みたいなのを使うんです。
いわゆる、フレームワーク思考というものです。
一方、学校の考え方は、ゼロから積み上げていく、プロセス重視の考え方です。
こちらは、ゼロベース思考と呼ばれるものです。
ゼロベース思考からフレームワーク思考に切り替えれば、うまくいくというわけです。
それぞれの思考の長所と短所を使い分ける
ただし、ゼロベース思考が完全に要らないかというと、そういうわけでもないんです。
私が大学に入ったばかりの時に、物理の講義で聞いた話ですが、「日本数学会の会長は、センター試験の数学の問題を時間内に解けない」ということを聞きました。
日本数学会の会長ともなると、一瞬にして問題を解いてしまいそうなイメージがありますが、実はそうではないんですね。
どうしてこんなことになるのかというと、やはりフレームワーク思考とゼロベース思考の違いなんです。
フレームワーク思考の受験生は、公式だの解答テクニックだのを駆使して、時間内に効率よく問題を解いていきます。しかし、このやり方では、自分が知っている問題は効率よく解くことができても、難問奇問の類の問題にぶち当たってしまうと、とたんに解答不能に陥ってしまうという弱点もあるんです。
フレームワーク思考は、あくまでスピード重視なんですね。
逆に、ゼロベース思考の日本数学会の会長は、常に基礎から積み上げて考えるため、時間内に効率よく問題を解くということはできませんが、どんな難問奇問が相手でも解いてしまうという強みがあるんです。
ゼロベース思考は、パワー重視なんです。
フレームワーク思考とゼロベース思考は、こういった違いがあるんですね。
平社員のレベルでは、上から言われたことを素早く効率よくこなしていくことが求められるため、フレームワーク思考が中心となりますが、役職が上がっていくにつれて、フレームワーク思考だけでは通じなくなります。
難しい経営課題に対処していくという場面が出てくるため、ゼロベース思考も必要になってくるんです。
なので、二つの思考を自在に使い分けるというのが、大事なんですね。
深く納得しました。