何かを相手に伝えようとして、うまく伝わらずに困った経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
とりわけ、専門的な内容を専門外の人に説明する時や、新しいアイデアを誰かと共有する時には「一体どうやったら分かってもらえるんだろう」とイライラしたり、モヤモヤしたりすることも多いものです。
そんな時に役立つのが「メタファー」です。小説や詩で使われることが多いメタファーですが、実はビジネスや日常生活でも大活躍します!
メタファーを使うことで、どんなメリットがあるのかや、具体的な作り方について解説していきます。
【目次】
メタファーとは
まずはメタファーの概要や他の表現方法との違いについて解説してきます。
メタファーとは
メタファー(隠喩)とは、比喩表現の中でも「~のような」というような言葉で比喩であることを示すことなく、あるものを他のものにたとえることです。
国語の授業で比喩表現について学んだ際に、「隠喩」として習った人が多いでしょう。隠喩を英語でいうとメタファーですので、一見すごそうなテクニックに見えても、実は誰もが一度は学校で学んだことのある表現方法です。
国語の授業の中で文学作品を通して学ぶということもあってか、メタファーは小説や詩の中だけで使うような表現方法だと思われがちな面があります。
ところが最近では、メタファーには単なる表現技法という枠を超え、人を動かすだけの力があるということがわかってきています。詳しくは後ほど解説していきますが、メタファーを使えるようになるだけで、相手に自分の頭の中にあるイメージをうまく伝えられるようになったり、受け手の感情を引き出して行動をうながしたりといったことができるようになります。
他の表現方法との違い
メタファーと似た表現方法としては、「直喩(シミリー)「提喩(シネクドギー)」」「換喩(メトニミー)」の3つがあります。メタファーとの違いに着目しながら、どういった表現方法なのか解説していきます。
①直喩(シミリー)
メタファーとセットで習うことが多いのが、この「直喩」という表現です。「~のようだ」といった言葉を使って比喩であることをはっきり示すというのが特徴です。
よく使われる表現の一例としては、「太陽のように明るい人」があります。
比喩であることを示さないメタファーに比べると、たとえ話をしているんだなというのがわかりやすくなります。
②提喩(シネクドギー)
提喩は、上位概念で下位概念を、下位概念で上位概念を表すものです。そう言っても分かりにくい方も多いかと思いますので、例で説明します。
上位概念で下位概念を表現するケース:
「明日は、花見に行く」
ここでは「花」という上位概念を使って、下位概念の桜やチューリップというものを表現しています。
下位概念で上位概念を表現するケース:
「このあと一緒に、お茶でもいかがですか?」
「お茶」というのは、飲み物という上位概念に対して、下位概念にあたります。このケースでは、飲み物を代表するものとして挙げられており、実際に飲むものはコーヒーでも紅茶でも構いません。
提喩で使われる言葉は、このように上位概念・下位概念というつながりがあります。それに対してメタファーは、直接的なつながりは無くてまったくの別物であるものを、共通の特徴を使ってたとえるものです。
③換喩(メトニミー)
換喩とは、何かを表現する時に、その事柄と隣接関係にあるものに置き換えて表現することです。例えば、以下のような例がそうです。
「私は、村上春樹をよく読みます」
ここでは、著者である村上春樹氏を用いて、その著者が書いた一連の本を表現しています。村上春樹氏と彼が書いた本は、概念的には隣接した関係にあります。
さきほどの提喩が、上位概念・下位概念を使うのに対して、換喩では隣接関係にあるものを使って表現するというのが特徴です。
このように、換喩は隣接した関係にあるものを使って表現するのに対して、メタファーは全く関係のないものでも似た特徴があるものを使ってたとえるものです。
メタファーの具体例
メタファーがどういうものなのか、まだよく分からないという方も多いかもしれません。
理解を深めるために、具体例を見てみましょう。
特徴を一言で説明する
メタファーを使えば、あるものの特徴を短くて簡単な言葉によって表現することができます。
この記事を読んでいる人の中には、就職活動の面接で「あなたを動物にたとえると何ですか?」といったような自分を何かにたとえるような質問を受けたことがある人もいるかもしれません。
逆に、自己紹介の中で自分を何かに例えるといったパターンもあります。
それくらい、特徴をわかりやすく伝えることができるメタファーは、便利な表現テクニックです。
まずは、身近な例を見てみましょう。
今の時代に耳にすることが多くなったのが、以下の例です。
例1 豆腐メンタル
メンタルがかなり弱いことを豆腐にたとえたものです。初めて目にする人にとっては、「メンタルが豆腐って、どういうこと?」と思うかもしれません。
このメタファーは、メンタルの弱さを豆腐の崩れやすく、すぐにボロボロになりやすいという特徴に見立てたものです。
普通に「私、メンタル弱いんですよ~」と言っても、聞いている相手としては「ちょっとくらい大丈夫なんじゃないの?」と思う人も出てきます。
これに対して、「私、豆腐メンタルなんです」と言えば、ちょっとどころの弱さではなく、わずかな衝撃にも耐えられずに崩れてしまうというのが伝わりやすくなります。
豆腐メンタルという表現は、豆腐とメンタルの崩れやすさのイメージがぴったり当てはまるという例です。一方、どうしてもぴったりのイメージが無いものの、次に示すように真逆のもののイメージを当てはめて「逆○○」というように表現することもあります。
例2 逆コナン
こちらは少しマイナーになってしまいますが、もしかしたら見かけた人もいらっしゃるかもしれません。
コナンとは、大人気アニメの『名探偵コナン』の主人公で、「見た目は子供、頭脳は大人」がキャッチフレーズです。
それとは逆バージョンというわけですから、逆コナンとは「見た目は大人、頭脳は子ども」という人を表現しています。
この表現をすでに知っているという人は比較的少ないかもしれませんが、実際に「逆コナン」な人を見たことがあるという人は多いかもしれません。
ビジネスの世界では、好奇心旺盛で多少のリスクなどお構いなしに突っ込んでいって成功をおさめるという逆コナンなパターンの人が多くいるため、そういう人を表現するにはピッタリです。
SNS上では、こういったメタファーを見かけることもよくありますが、中には特徴をうまくとらえてバズるというケースも出てきます。
最近話題になったのが、次の例です。
例3 無課金おじさん
この「無課金おじさん」というのは、パリオリンピック開催中にバズったワードで、射撃競技のエアピストルの選手で銀メダルを獲得したトルコのユスフ・ディケッチ氏のことです。
この方は、他の選手が競技で身につけている保護メガネやイヤーマフといった装備をまったく身につけず、Tシャツ一枚というラフな格好で出場してメダルを獲得し話題になりました。
それを見た人が、ネットゲームでアイテムに課金しないことになぞらえて「無課金おじさん」と呼んだところ、たとえの面白さもありバズにつながりました。
短い言葉で特徴をうまく伝えられるというのは、SNSとの相性がいいと言えます。
抽象的・専門的な言葉を分かりやすく伝える
抽象的で分かりにくいことや、専門的で理解が難しいことを分かりやすく伝えるのにも、メタファーが活躍します。
ビジネスにおいては、経営陣が考えている抽象度の高い内容のことを現場の人が具体的に理解できるようにサポートすることができます。また、専門分野においてお、一般人が馴染みのないものを身近なものにたとえることで、理解を助けることができます。
ビジネスの世界において、メタファーを活用している人として知られているのが、Amazonの創業者であるジェフ・ベゾス氏です。
ベゾス氏は、社内における一つのチームの大きさの目安として、以下のようなメタファーを使っています。
例4 ピザ2枚分のチーム
具体的な数字をあげて、一つのチームの大きさは何人から何人までだと言わなくても、この一言でどれくらいの大きさにすべきなのかという目安が示されています。
チームは、その中にいる人数が多くなるほど、コミュニケーションの量が爆発的に増えていくようになり、コミュニケーション上のミスやトラブルも発生するようになります。そうした問題を防ぎつつ、最高のパフォーマンスを発揮できる人数の目安が、ピザ2枚でまかなえるくらいの大きさだというわけです。
このように表現すれば、最適なチームの大きさのイメージもつきやすくなります。
状況をドラマチックに表現する
これまでに紹介した具体例では、特徴がうまく一致するものを使ってたとえるというパターンでした。
これとは他に、特徴は似ていても規模が大きく異なるものを使ってたとえるという「誇張法」と呼ばれるものもあります。
この誇張法を使って状況などを表現することで、よりドラマチックな表現になり感情が伝わるようになります。
実際に、具体例を見てみましょう。
例5 やることが多過ぎて、仕事の山だ。
職場のデスクの上に処理しないといけない書類が高く積み上げられている情景が目に浮かんできそうですね。
単純に「やることが多過ぎて大変だ」と表現するよりも、「仕事の山」と表現した方が、仕事量の多さに圧倒されている感じや「もう勘弁してくれ!」という、うんざりした気持ちが伝わりやすくなります。
別の例を見てみましょう。
例6 今回の捜査で摘発されたのは、氷山の一角だ。
この「氷山の一角」という表現は、見えている部分は全体のほんの一部分で、大部分は見えないところにたくさん存在するというたとえです。たいていネガティブな場面で使われることが多いです。
「氷山の一角」と表現することで、見えない部分にまだたくさん問題が転がっているということや裏で暗躍する犯罪集団がいるといったことを暗示することができ、緊張感を伝えることができます。
実際に、目に見えない部分にどれだけのリスク要因が潜んでいるのかを把握するのは、困難なことが多いです。
それを氷山の一角だと誇張して表現することで、あたかもたくさんあるかのような印象を与えることができます。
さらに別の例も見てみましょう。
例7 消防隊員が駆けつけた時には、現場はすでに火の海だった。
「火の海」という表現も、誇張した表現としてよく使われるものです。
もちろん海と同じくらいの面積にわたって燃えているというわけではありませんが、炎によって隙間なく覆われ、波のうねりを連想させるような炎のゆらぎのイメージが浮かんできます。
このように「火の海」と誇張して表現することで、程度の激しさだけでなく、それが消火することが困難なものであることを暗に示すこともできます。
小説などでは、頻繁にメタファーが使われます。
この例文だけでも、「火の海を前にした消防隊員は、一体どんな気持ちだったのか?」を考えるだけで、いろいろな想像をすることができます。
消火することが困難なのはわかっている。下手をすると、命を落とす危険もある。だが、それでもやらねばならない。
こうした緊張感や絶望感、使命感といった複雑に感情が入り混じった状態を容易に思い浮かべることができるのではないでしょうか。
情景や登場人物の心理を細かく描写するという方法もありますが、あまりやり過ぎてしまうと読者から「説明がウザい」と思われてしまいかねません。
映画や漫画のような視覚的な情報で受け手に伝えるものとは異なり、小説では言葉からイメージを膨らませていくということが必要になります。
この「イメージを膨らませる」というのが、小説の読者にとっては楽しみの一つです。
描写を細かくするよりもメタファーを使った方が、少ない言葉で表現できるだけではありません。読者にとってイメージを膨らませる自由度が高くなり、それだけ楽しみも増えます。
比喩で伝わりやすくなる仕組み
たとえを使うことで、どうして伝わりやすくなるのでしょうか?よくよく考えてみれば、不思議に感じる人もいるかもしれません。
たとえを使って伝わりやすくなる理由は、脳の中でどんな情報処理が行われているのかを知れば理解できます。
人間は、初めて見聞きするものに対して、無意識的に自分の過去の知識や経験を当てはめることで判断を下しています。こうした脳の情報処理の仕組みは、人類が厳しい自然界の中で生き延びていく中で身についたものです。このような仕組みのおかけで、少ない時間とエネルギーで判断を下すことが可能になり、危険なものに素早く対処することができます。
こうした自分の過去の知識や経験を活用する判断の仕組みは、自分が過去に見聞きしたことのあるものと類似した特徴を持つものに対しては上手く対処できます。一方で、まったく見たことも聞いたこともないようなものに対しては、比較の対象となるものが頭の中にないため、自分にとって危険か安全かの判断といったことが難しくなります。
こうしたことを踏まえると、比喩を使って相手が知っている特徴に似ているものにたとえて説明すれば、相手はすんなり理解できるようになります。
また、情報の発信者が比喩を使うことで、受け手側は「これは何に似ているんだろうか?」と自分で考えなくて済みます。そうなると受け手の脳にかかる負担はそれだけ少なくなり、より伝わりやすくなります。さらに、メタファーは少ない文字数で表現することができるため、それだけ受け手の脳が処理する情報量も減り、理解しやすくなります。
メタファーのメリット
メタファーを使わなくても、簡単な言葉で丁寧に説明すれば、言いたいことを伝えることは十分可能です。
それでもメタファーを使うのには、大きなメリットがあるからです。具体的に、どんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
短い言葉でわかりやすく伝えられる
メタファーの最大のメリットは、何と言っても難しい概念を短い簡単な言葉でわかりやすく伝えることができることです。相手が専門家ではない全くの素人と言う場合でも、メタファーを活用することで、およそのイメージについて理解させることができます。
ビジネスの世界においては、どうしても難しいことを相手に伝えないといけないという時があります。まったく新しい商品の企画や開発、販売をする時や、今までにない革新的なビジネスで起業しようというような時には、資金や仲間を集めるために周囲の人に対して、その商品やビジネスの素晴らしさを理解してもらう必要があります。
相手が分かりにくそうにしている時に無理にダラダラと説明してしまうと、飽きられてしまって「もう興味ない」となってしまったり、「ちゃんと分かるように説明して!」とイライラさせてしまったりします。
そんな時にメタファーを上手く使えれば、短時間でサクッと理解させることが可能になります。
具体的にイメージしやすい
メタファーは、抽象的でわかりにくいものを特徴の似ている具体的なものにたとえることで、分かりやすくすることができます。
具体的なものにたとえるということは、視覚的にイメージしやすいということにつながります。また、視覚的にイメージしやすいことで記憶にも定着しやすくなり、イメージを他の人と共有するということもやりやすくなります。
先ほどの、ピザ2枚分のチームのたとえにしもて、チーム内の人数は多過ぎずに最高のパフォーマンスを発揮できる範囲内でと表現されるよりも、どれくらいの範囲に収まりそうなのかのイメージがしやすくなります。
受け手の感情を動かすような表現ができる
小説や詩でメタファーが使われることが多いのは、メタファーには感情を動かす力があるからです。感情を動かすことができるということは、それだけ受け手の行動を引き出しやすくなるということでもあります。
とりわけ誇張法によって表現すれば、受け手に対して強い印象を与えることができます。
メタファーは必ずしも文学的なものである必要ななく、ちょっとふざけた感じのものでもOKです。お笑いの「たとえツッコミ」がいい例です。「まるで○○みたいやな」と言わずに「△△か?」と表現しているものがメタファーに該当します。
メタファーのデメリット
メタファーは強力な表現テクニックですが、一方で使いづらさも出てきます。
どういった点に注意が必要なのかを解説していきます。
知識や経験が必要になる
メタファーは、あるものを特徴の似ている別のものにたとえる表現テクニックです。そのことを考えると、たとえるものについて十分な知識が備わっていることが重要になります。何も知らない状態だと、いざ何かにたとえようとなった際に「え~と・・・」となって何も思い浮かんでこないということになりかねません。
メタファーを使うにしても、あまりにもありきたりな内容だと、相手に飽きられやすくなってしまいます。日頃からいろんな経験をして、たとえに使えそうな面白そうなものをたくさん知っておくということが大切です。
「無課金おじさん」の例にしても、オンラインゲームをしたことがある人でないと、こういったメタファーは思いつけません。ゲームをプレイしていて「アイテムに課金せずに、これをクリアできる人って、相当な強者だよなw」という気持ちが根底にあり、実際にオリンピックの射撃競技で、まさに必要最低限の装備でメダルを獲得する人を目の当たりにして、「オリンピックにガチでいたっ!」とならないと、こうしたアイデアはなかなか生まれてくるものではありません。
文章の中でメタファーを使う場合には、考える時間を確保できます。ところが、会話の中でメタファーを使おうとなると、そうはいきません。
話の内容が理解できずに困っている相手に対して気の利いたメタファーを使って説明しようとすると、適切な考えがパッと思い浮かぶ反射神経も大事になってきます。日頃からたくさんメタファーを使って経験値を積んでおくということも大事になってきます。
相手が知っているものを使わないと効果が無い
いくらメタファーを使って伝えようとしても、相手の知っているものにたとえないと効果がありません。そのため、事前に相手が何を知っていて何を知らないのかを把握しておく必要があります。
「上手いメタファーを思いついた!」とウケ狙いでうっかり相手の知らないものにたとえてしまうと、派手にすべってしまうということもあり得ます。
とりわけ注意が必要なのが、「ジェネレーションギャップ」や「サブカルチャー」が関係するものです。
相手との年齢差が大きいと、育った環境や影響を受けたもの、価値観といったものは大きく異なります。そうなってくると、たとえに使えるのが全世代に共通して使えるものに限られてきてしまいます。
また、アニメのキャラクターなどに例えてしまうと、その作品を知っている人には効果がありますが、知らない人にとっては何を言っているのかかえって分かりにくくなってしまいます。
ASDの人には効果が無いことがある
事例としては少し特殊なケースになりますが、発達障害の中でASDの人は、メタファーがうまく理解できないということがあります。
ASDの人は、冗談や皮肉といったものがが通じずに、言われたことを文字通りに受け取ってしまうという傾向があります。そのため、比喩であることを示さないメタファー(隠喩)は、ASDとの相性があまり良くありません。健常者の人なら「あ~、たとえ話だな」とすぐに気づけますが、ASDの人だと気づかずに混乱してしまうということになりかねません。
不特定多数の人を相手に話すような場合などには、メタファーが通じない人が一定数混ざっていることを念頭に置いておく必要があります。どうしても比喩表現を使いたい場合には、メタファーではなく直喩を使い、たとえているということが分かりやすいようにするといった配慮が必要になることもあります。
メタファーの作り方
ここまで記事を読んで、実際にメタファーを使ってみたいと感じた方もいらっしゃるかもしれません。メタファーは、特別な訓練などしなくても運よくひらめくという時もあります。しかしながら、臨機応変にメタファーを出せるようにしようとなると、それなりの知識や経験がベースとして必要になります。
普段から身の回りのものを観察して大まかな特徴をつかむようにし、それを頭の中で整理しておくというのがポイントです。こうしてたくさんネタをストックしておくことで、いざというときにぴったりな表現がパッと浮かびやすくなります。
ここで一つ注意点として、細かい部分までこだわり過ぎないというのが重要です。完璧主義の傾向の強い人だと、大まかな特徴以外にも細かい部分まで拾ってしまいやすくなります。その結果、完全に特徴が一致するものを探してしまい、思い浮かんできたものを「う~ん、なんか違うなぁ…」と全部ボツにしてしまうということが起きやすくなります。あくまで一番特徴的な部分が一致していればOKと考えましょう。
メタファーを作る時には、何かにたとえたいものの代表的な特徴は何なのかをまず考え、次にその特徴が一致する別のものを探します。
この時に、「誰に対して伝えるのか?」というのも、重要な注意点です。メタファーが力を発揮するためには、相手が知っているものにたとえるというのが必要不可欠です。基本的には、誰でも知っているものにたとえるというのが一番無難なやり方です。ただ、例外として、一部のユーザーにターゲットを絞り込んで、その人に一番刺さるような表現にするというやり方もあります。
「無課金おじさん」が、その良い例です。オンラインゲームをやったことがなく、無課金がどういう状態なのか分からないと、このメタファーの意味はよく分かりません。ところが、このワードがバズったX(旧Twitter)では、オンラインゲームをプレイしたことがある層が多かったこともあり、表現の巧みさもあってバズにつながりました。
メタファーは、ある事柄を特徴の似ている別の事柄を使ってたとえるというシンプルなものです。やり方自体は簡単ですが、実際に「これだ!」と思えるような表現ができるようになるためには、日頃からの知識や体験のインプットだったり、実際に自分でたくさん作ってみるというアウトプットが欠かせません。
小説をたくさん読んだり、お笑い芸人さんのたとえツッコミを参考にしてみるといいでしょう。