起承転結と序破急という言葉は、聞いたことがあるけど、使い方がよく分からないという人は、多いのではないでしょうか。
実はこの2つには、明確な違いがあります。
具体的にどんな違いがあるのかや、どうやって使い分けていったらいいのかを、心理学も交えながら解説します。
【目次】
起承転結と序破急の違い
多くの人は、起承転結や序破急といっても、文章が4つのパートに分かれているのか、それとも、3つのパートに分かれているのか程度の違いしか分からないという人がほとんどでしょう。
ここで、起承転結と序破急の違いについて、押さえておきたいポイントは3つあります。
結論のくる位置
まず結論のくる位置ですが、起承転結では、ほとんどの場合、文章の最後の方にきます。
起承転結型の文章では、前半部分の起承のところで、一般論や相手方の意見などについて論じます。
次に転の部分で方向を変えて、自分の意見について論じ始めるという文章の構造上、最初の方に結論を持っていきにくいんですね。
一方の序破急は、結論を最初に持ってくることもできますし、最後に持ってくることもできます。
序破急では、状況に応じて、結論を持ってくる位置を変えることができるんです。
読み手へのアピール度
起承転結型の文章では、結論は最後にくるので、文章を最後まで読まないと、書き手の言いたいことは、なかなか伝わりません。
また、前半部分で、いったんは一般論や相手の意見を受け入れるということをするので、自分の意見を強く押すための型ではないんです。
逆に、序破急型の文章は、自分の意見を積極的にアピールするのに向きます。
最初に結論を出せたほうが、インパクトがありますよね。
また、読み手としても、先に結論を示してもらった方が、文章の全体像がつかみやすくなるんです。
なので、読み手へのアピールという点では、起承転結で書くと、控えめなアピールとなり、序破急で書くと、積極的なアピールとなります。
文章全体の印象
文章全体の印象としては、起承転結では、重たくて暗い感じの文章になる傾向があります。
一般論や相手の考えを、いったん受け入れた上で、自分の考えを述べるという流れになっているので、どうしてもその分だけ、文章も長くなりやすいんですね。
さらに、転の部分で「だが」や「しかし」といった逆説の接続詞を使うなど、否定的な言葉も入ってくるので、ネガティブな印象も生じやすいんです。
一方の序破急はというと、リズミカルで明るい感じの文章になる傾向があります。
その典型的な例が、テレフォンショッピングの原稿です。
例えば・・・
序:「みなさん!キッチンの頑固な油汚れ、なかなか落ちずに、お困りではありませんか!?」(問題提起)
破:「そこで、今回ご紹介する商品がコチラ!特許取得のマジッククリーナー!!見てください!油汚れがどんどんキレイになっていきますよね~!!」(解決策)
急:「お値段は、なんと○○円!!日本全国、配送無料!今スグ、お電話を!!」(結論・行動喚起)
・・・と、こんな具合です。
序破急で話を組み立てると、こうなります。
およそのイメージは、つかめたのではないでしょうか。
クラシック音楽の観点から見ると
文章の書き方とはあまり関係がないように見えるかもしれませんが、実は、クラシック音楽の観点に立つと、起承転結と序破急がより深く理解できます。
具体的には、4つの楽章で構成される交響曲と、3つの楽章で構成される協奏曲を比較すると、起承転結と序破急の違いがよく分かります。
交響曲のそれぞれの楽章のテンポは、一般的には、急-緩-中-急というような形になります。
最初の第一楽章は、テンポが速めに入っていき、第二楽章でペースを一気に落として、聴く人を引き込んでいくんですね。
その後、第三楽章で中程度のテンポとなり、最後の第四楽章になると、さらにテンポを上げて、雰囲気を盛り上げていくという流れになっています。
これを見ると、最後の方に重要な部分があって、そこに向かってテンポがどんどん上がっていくのが分かるでしょう。
これがまさに、起承転結の形になります。
一方の協奏曲では、それぞれの楽章のテンポは一般的に、急-緩-急となります。
テンポを見ただけでは、どの部分が重要なのかが分かりませんが、各楽章の演奏時間を見れば、第一楽章に重点が置かれているということが分かるんですね。
もちろん例外もありますが、第一楽章の演奏時間は、他の楽章に比べて長くなる傾向があります。(場合によっては、2倍近くになることもある。)
協奏曲では、ピアノ協奏曲やバイオリン協奏曲といったように、主役となる楽器があります。
主役がはっきりしていて、それを前面に押し出したいという時に、曲の最初の部分に重点が置かれ、序破急の形をとるようになるんですね。
起承転結と序破急の違いのイメージをつかんでいただけたのではないでしょうか。
どこに重点が置かれているのかや、テンポの感覚をイメージできれば、文章を書く上で、表現力のアップにつながることでしょう。
さきほどのテレフォンショッピングの例でいうと、序の部分で視聴者に呼びかけるときは、テンポもテンションも、やや高めです。
次に、商品紹介する際には、ややトーンダウンして、最後に行動喚起するときには、テンポもテンションも、やや高めになるという具合です。
序破急で原稿を書いたり、人前で話したりする際には、このリズムの感覚が、参考になるでしょう。
また、クラシック音楽なんて全然聴かないという人も、起承転結や序破急を意識しながら聴けば、何か発見があって、おもしろいかもしれません。
最初の一文が出てきにくい心理学的原因
作文をする時に、どうしても文章がスラスラと出てこないなんてことはありませんか?
実はこれには、結論の位置をどこに持ってくるのかが、関係しています。
なぜ結論の位置によって書きやすさが変わってくるのかを、解説しましょう。
行動上の特徴と文章のパターン
NLP(神経言語プログラミング)と呼ばれる最新の心理学の中に、LABプロファイルと呼ばれる、言葉と行動の関係性を分析したものがあります。
それによると、人には物事を理解しようとする時に、まず全体像をとらえようとする全体型と呼ばれるタイプと、細かい部分を先に見ようとする詳細型と呼ばれるタイプが存在します。
全体型の人の特徴は、最初に物事の全体をとらえようとするため、細かいところまでは注意が行きにくいという点です。
思いついたことを、思いついた順番で書き出してしまうので、前後のつながりがはっきりしなかったり、中身が抽象的で分かりにくかったりします。
詳細型の人は、物事の細かい部分を先にとらえようとするので、細かい部分にこだわるあまり、全体が見えなくなってしまったり、結論が出るまでに時間がかかったりします。
細かい描写や説明が多くなるので、文章も長くなりやすい傾向があります。
※必ずどちらかのパターンになるというわけではなく、両方のパターンが混ざったタイプの人もいます。
自分の思考の向きと逆
文章には、思考の流れの方向があります。
具体的には、考えを積み重ねていって、最後に結論を出すというタイプと、最初に結論を示した上で、なぜその結論にたどりついたのかという理由を説明するタイプです。
なんだか書きにくさを感じるということは、自分の思考の流れのパターンと文章の思考の流れのパターンが一致していないんですね。
全体型の人が、積み上げ型の書き方で文章を書こうとすると、結論はあるのに、どう書き始めたらいいのか分からなかったり、書いている途中で、うまく結論にたどりつけずに、内容がメチャクチャになったりします。
逆に、詳細型の人が、全体像を先に示すタイプの書き方をすると、頭の中で考えが整理できて、結論がはっきりするまで書き始めることができないということが起こります。
そうなると、原稿用紙を前に、長時間、フリーズしてしまうことになってしまうんですね。
自分に合った型を使えば、書きやすくなる
書きにくさを解消するためには、自分に合った作文の型を選ぶのがポイントです。
すでにここまでこの記事をお読みの方であれば、もうお分かりだと思いますが、起承転結は積み上げ型であり、序破急は先に全体を示すのに向くタイプの書き方です。
自分の思考の流れと一致する作文の型を使用することで、書きやすくなるというわけなんですね。
ここで一つ、注意点があります。
自分に合った作文の型を使えば、確かに書きやすくなりますが、問題は、読み手への伝わり方です。
全体型の人が起承転結で書かれた文章を読むと、結論がなかなか出てこないので、面倒くさく感じたり、内容が細かいので、うっとうしく感じたりすることがあります。
また、詳細型の人が、序破急で書かれた文章を読むと、軽いノリの雑な文章で、どこか抜け落ちてるんじゃないかと感じてしまうこともあります。
なので、理想としては、相手に応じて書き分けができるようになっておいた方がいいわけです。
全体型と詳細型について、「自分がどのタイプなのか、詳しく知りたい!」、あるいは「相手がどのタイプなのかを見分けるには、どうすればいいのか?」と思われた方には、こちらの本をお勧めします。
LABプロファイルについて詳しく書かれた本であり、言語と思考パターンの関係がよく分かります。
相手に応じて適切な言葉を使うのが、いかに大事なのかがわかる本です。
また、個別にアドバイスを受けたいという方には、以下のサービスをご用意しております。