意味段落と形式段落の違いと使い方を詳しく解説します

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みなさんは段落について、どのように習いましたか?

 

私は、「意味が変わるところで区切れ」と習いました。

 

「意味が変わるところって、具体的にどこなの?」って感じですよね。

 

今回は、よくわからない段落の使い方を解説します。

意味の区切れってどこ?

段落を区切るときに、一番面倒な問題が、どこで区切ればいいのかです。

 

「意味の区切れのところで区切りなさい」だとか「一つの段落が長くなりすぎると読みにくいから、適当に区切りさない」なんて言われても、具体的にそれがどこなのか分からないと、ちゃんと区切れないですよね。

 

そこで、誰でも区切る場所が分かるように解説していきます。

 

具体例があった方が分かりやすいので、次の作文問題を例にして解説します。

 

「仕事をしなくても、一定の金額が銀行の口座に振り込まれてきて、そのお金で生活していけるとしたら、人間は働かなくなるのだろうか?あなたの考えをまとめなさい」という問いがあったとします。

 

そして、作文の下準備として、文章の基本骨格となる文を作成します。(詳しい方法については、こちらの記事をご参考ください。→作文は構成メモで差がつく!いい文章を書くための情報整理術

 

基本骨格となる文を、実際に作ってみると・・・

 

・生活に必要なお金が入ってくれば、生きていたいという欲求は満たされる。

 

・しかし、生きていたいという欲求が満たされると、今度は人から認められたいという欲求が生じる。

 

・よって、生活に必要なお金が手に入ったとしても、人から認められたいという欲求が新たに生じるため、人間は働き続けるのである。

 

・・・となります。

 

実はこれで、段落は3つになるということが決まります。

 

一つの段落では、言いたいことは一つと決まっているからです。

 

(あくまでこれは一例です。起承転結型の文章にしたいのであれば、4つになります。)

 

「意味の区切れで段落を区切るんだ」とならった人は多いと思いますが、その意味の区切れがこれです。

 

それでは、実際に例文を示しましょう。

 

※ブログでは原稿用紙に書くように表現しにくいことと、後で説明を加える都合上、変わった書き方になっています。

 

・段落はA、B、Cというふうに記号で分けて表示しています。

・丸印の数字は、その段落内での文の通し番号です。

・太字で示しているのが、構成メモで用意した文です。

 

 

人間には、生きていたいという生存欲求がある。(A-①)

 

この生存欲求は、人から認められたいという承認欲求や、自分の可能性を見つけ出し、それを十分に発揮していきたいという自己実現欲求に比べて下位の欲求であり、最も根本的な欲求である。(A-②)

 

それゆえに、この生存欲求がまず満たされないことには、他の欲求が生じることはない。(A-③)

 

人間は、社会で生活していくためには働いてお金を稼ぎ、そのお金で食べ物や衣服を買わなければならない。(A-④)

 

これが生きるために働かなければならない理由である。(A-⑤)

 

もし、働かなくても生活に必要なお金が入ってくれば、生存欲求は満たされる。(A-⑥)

 

 

しかし、生きていきたいという生存欲求が満たされると、今度は人から認められたいという承認欲求が生じる。(B-①)

 

自分の生活のことで精一杯だという場合には、他人のことよりも自分が生きていくことがまず優先される。(B-②)

 

仮に、何か人の役に立って認められたいと思ったとしても、金銭的に苦しかったり、働くことで忙しく時間が取れないとなると、金銭的な面と時間的な面から制限されてしまう。(B-③)

 

ゆえに、まず生存欲求が満たされないことには、それより上の承認欲求が満たされることはない。(B-④)

 

同様に、承認欲求が満たされなければ、それより上の自己実現欲求は満たされない。(B-⑤)

 

 

このように、欲求は低いものから高いものへとつながっている。(C-①)

 

そして、低い欲求が満たされると、今度はそれよりも高い欲求が生じるというようになっている。(C-②)

 

最初は生活することを目的に働いていた人も、何もしなくてもお金が手に入り、生活が保障されることにより、働く目的が人の役に立つことで、自分という存在を認めてもらうことに変わるのである。(C-③)

 

さらに、承認欲求が満たされれば、次は自分の可能性を実現したいという自己実現欲求を満たすために働くようになるだろう。(C-④)

 

よって、生活に必要なお金が手に入ったとしても、人から認められたいという欲求が新たに生じるため、人間は働き続けるのである。(C-⑤)

 

それでは次に、段落の中身について解説していきましょう。

 

段落の構成要素

まず、段落の中には中心となる文が必ず一つ存在します。

 

同じ段落内に存在する他の文は、この中心となる文を支えるための文という関係になります。

 

具体的に見ていくと、A段落では、①~⑤の文は⑥の文を導き出すための文です。

 

またB段落では、①の文は、後に続く②~⑤の文によって支えられています。

 

このように、段落の中には、中心になる文とそれを支える文が存在します。

 

さらに、一つの段落の中にも、ストーリー展開があります。

 

これも具体的に見ると、A段落においては、・・・

 

人間には生存欲求がある。 → 生存欲求を満たすには、お金が必要。 → お金が入ってくれば生存欲求は満たされる。

 

・・・という流れです。

 

文章全体として見た場合には、序破急の3段落構成の文章です。

 

しかし、それぞれの段落の中にも、起承転結や序破急の型があります。

 

例えばA段落では、①が起、②と③が承、④と⑤が転、最後に⑥が結になっています。

 

一方、B段落では、①が序、②と③が破、④と⑤が急という具合です。

 

そして、C段落では、①が起、②と③が承、④が転、⑤が結となっています。

 

ここまでお読みいただければ分かるように、長い文章と言っても、実は小さな文章の集合体なのです。

 

そして、起承転結や序破急の論理の型を有した文章の最小単位が段落なのだという考え方もできます。

 

段落の中にもストーリー展開があると述べましたが、このストーリー展開が完結して次のストーリー展開に移るところが意味の切れ目になります。

 

これで、段落はどのへんで区切るべきなのかが、お分かりいただけたと思います。

 

意味段落と形式段落

ここまでは、段落は意味の区切れのところで分けるということを解説してきました。

 

しかし実際には、意味が区切れていないところで分けることもあります。

 

実は段落には、意味段落形式段落の二種類があります。

 

意味の区切れで段落を区切れと言っているのは、意味段落のことを言っているのです。

 

では、形式段落とは何かというと、一つの意味段落を複数の段落に分割したものです。

 

一つの意味段落では、あまりにも文章が長くなりすぎてしまい読みにくくなってしまうという場合に、意段段落を分けることで、文章を読みやすくするためのものです。

 

では、具体的にどういう場合に分けるのかを解説しましょう。

 

どんな時に形式的に分けるのか?

形式段落に分けるパターンとしては、次の4つを挙げることができます。

 

①説明

何か読者にとって分かりにくいだろうと思われる用語があって、その用語についての説明が必要だと感じた場合には、その用語について説明するための専用の段落を設けます。

 

用語を使用する段落の前後に新たに段落を設けて、「○○とは、~である。」のような感じで、用語について説明します。

 

②対比

何か二つのものを比較する場合に、文章が長くなってしまいそうなときは、これも独立させて一つの段落にします。

 

例えば、生存欲求と承認欲求を比較する場合を考えましょう。

 

生存欲求は、生物的な欲求であり、承認欲求は社会的な欲求である。生存欲求は、生物であれば備わっているものの、承認欲求は人間にしか備わっておらず・・・みたいな感じで書いていきます。

 

③列挙

何か具体的な例を挙げて並べたり、理由などを並べたりというときに、段落として独立させます。

 

文章が短い場合には、一つの段落でも構いませんが、長くなってしまいそうな場合には、具体例ごとに、あるいは理由ごとにそれぞれ独立した段落とします。

 

以上が、段落が大きくなりすぎるのを防ぎ、文章を読みやすくするための形式段落の使い方です。

 

④強調

意味段落の中の一文をあえて切り出して独立させ、一つの段落にすることで、その一文を強調するということがあります。

 

切り出された文は、他の文といっしょになって段落に入っているよりも、独立して一つの段落となった方が、読者の目につきやすくなります。

 

例えば、例文のC-⑤の文(結論部分)をあえて独立させて一つの段落とすれば、この結論の一文を強調することができます。

 

このように、形式的に分けるということは、新たな段落に説明や対比、列挙、強調といった機能を持たせて独立させることです。

 

そうすることで、一つの段落が大きくなりすぎるのを防ぎ、文章を読みやすくするという目的があるのです。

 

意味段落と形式段落の数え方

国語の授業では、意味段落と形式段落の数を答えさせるということがあります。

 

そんなことをさせて何の意味があるかと思う人もいると思いますが、一番の目的は文章がどんなふうに組み立てられているのかを学ばせるためだと思います。

 

形式段落は数えるのが楽です。一字下がりになっているところの数を数えればいいわけですから。

 

問題は意味段落です。こちらは簡単にはいきません。

 

意味段落の数は、形式段落の数を超えることは絶対にあり得ません。

 

意味段落を分割することで文章を読みやすくしたものが形式段落なわけですから、形式段落の方が数は多くなります。

 

意味段落の数を数える際には、話の流れが変わっているところで区切るようにして数えると習った人も多いと思います。

 

私としては、序破急型の文章では3、起承転結型の文章では4になると考えています。

 

一つの意味段落の中では、言いたいことは一つだけと決められているからです。

 

文章の型が、序破急なのか、起承転結なのかを見抜けば、意味段落の数はわかるはずです。

 

まれに序破急や起承転結とは異なる文章の型も存在はしますが、その場合も文のつながりを読み解いていき、意味の区切れを見つければ、意味段落の数は分かります。

 

他にも、形式段落の数から説明、対比、列挙、強調に使われている段落の数を引いてやると、形式的に分割される前の意味段落の数を求められるというやり方も考えられます。

 

形式段落の数は、だれでも簡単に求められますが、意味段落の数は、ある程度の読解力が必要です。

 

これで、今まであやふやだった意味段落と形式段落のことがお分かりいただけたと思います。

 

段落は文章が長くなってきたら適当に区切ればいいというものではありませんので、ちゃんと意味の区切れを意識するようにしましょう。

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