
「占い」という言葉を聞くと、なんだかちょっと怪しいと感じる人も多いでしょう。
「どうせそんなの、当たらないよ」と完全に否定する人もいますよね。
でも、「データサイエンス」という言葉を聞くと、いかにも確実に当てることができるという印象が出てきます。
易経は占いのテキストとしても使われる本ですが、実はその考え方は、データサイエンスにかなり近いんです!
意外ともいえる易経の科学的な考え方や西洋占術との違いを、易経の名言を通してご紹介します。
【目次】
「易」の言葉の意味
「易」という言葉には、易の三儀といって、三つの意味がるとされています。
その三つの意味というのは・・・
変易:あらゆる事象は、常に変化する
不易:変化には、一定で不変の法則が存在する
易簡:その変化の法則を、人生に応用する
・・・というもの。
変化するものの中に法則を見つけ出して、それを応用しようという考え方は、データサイエンスそのものです。
何か超能力的な力によって未来を予言しようというよりも、法則に基づいて未来を予言しようというのが、易経の考え方です。
どんな名言があるのか
易経の考え方としては、不変の法則を見つけ出して、それを人生に応用すること。
なので、易経の名言にも、不変の法則を言い表したものや、それを人生に応用するとうものがあります。
占いとしての名言
窮すれば則ち変じ、変ずれば則ち通ず
人間は変化を嫌うものですが、変化を拒み続けていると、やがては追い込まれていき、身動きが取れない状態に陥ります。
そのような状態に追い込まれると、何か変化を起こし始め、やがて道が開かれるということを述べたものです。
これが、大きな変化が起こるときのパターンなんです。
霜を履みて堅氷至る
霜が降りるようになってくると、やがて寒さの厳しい冬がやってくるという意味です。
どのような出来事にも、必ずその前兆があるということを述べています。
大きな変化の前兆を、見落としてはならないということなんですね。
処世術としての名言
善積まざればもって名を成すに足らず。悪積まざればもって身を滅ぼすに足りず。
善行も積み重ねないと名を成すことはできないし、悪行も積み重ねないと身を滅ぼすこともない。
だから、小人は、善行などやっても無駄だと考えてやろうとしないし、少しくらい悪いことをしても大丈夫だろうと考えて、悪いことをしてしまう。
その結果、小人は、名を成すことができないし、悪行が積み重なって隠しきれなくなり、やがては身を滅ぼすということを述べた一文です。
ここに示した名言はほんの一部で、易経の中には、この記事では書ききれないくらいたくさんの名言があります。
西洋占術との違い
易経の考え方は、意外と科学的です。
宇宙は、不変の法則によって支配されていると考えるわけです。
なので、易経は占いの本でありながら、神、愛、霊といったものは、ほとんど出てきません。
このあたりが、西洋占術との違いです。
ヒーリング的な要素を持っている西洋占術に対して、易経の名言は、どこか冷徹な感じがするところがあります。
実は、占いには、大きく分けて二つのクレームがあると言われています。
それが、「占い師の態度が悪い!」というものと「当たらないじゃないか!」というもの。
占い師の態度に関しては、東洋系の占いは、考え方の根底に、宇宙の法則を重んじるということがあります。
そのため、癒してもらいたいという相談者にしてみれば、なんだか法則に縛りつけられているように感じるのかもしれません。
相談者としては、もっと寄り添ってほしいのに、宇宙の法則の話ばかりされると、見捨てられているように感じてしまうわけです。
なので、相談者に対してズバズバと物を言う東洋系の占い師の先生の方が、西洋系の占い師の先生に比べると、態度が悪いように見られてしまう傾向があるように感じます。
このへんは、占い師の先生のやり方や、相談者の好みにもよるでしょう。
データサイエンスとしての易に必要な3つのもの
もう一つのクレームである当たらないことに関しては、易ではいくら宇宙の法則を重んじるとはいっても、占いには限界があります。
全く同じものは一つとしてない人生において、法則を見つけ出すのは容易ではありません。
易がデータサイエンスとして完成するためには、どうしても次の3つが必要になってきます。
傾向を明らかにするためのビッグデータ
傾向を見つけ出すには、まずデータが必要になってきます。
同じものが存在するのであれば、傾向を見つけ出すのは簡単ですが、全く同じものが無くて比較するのが難しいとなると、傾向を見つけるために、膨大な量のデータが必要になってきます。
昔の人は、パソコンもろくにない時代に、気の遠くなるような時間と労力をかけて、データをかき集めていました。
ただ、データの量が多くなってしまうと、それを管理するのも大変です。
昔は、扱えるデータの大きさに限界があったため、十分な解析を行うことができず、得られた結果も精度が悪いものとなっていました。
しかし最近では、ビッグデータという言葉も出てきたように、一度に大量のデータを扱えるようになったため、高い精度で結果を予測するということが可能になってきました。
データを解析するための人工知能
いくら巨大なデータを一度に扱えるようになったといっても、どんな傾向があるのかを見つけ出すのは、容易ではありません。
昔の人は、時間と労力をかけて膨大な量のデータを集めたとしても、まともに解析するということができなかったため、直感を頼りに法則性を見つけ出すということをしていたわけです。
しかしこれでは、時間がかかり過ぎる上に、見落としが生じる可能性があります。
そこで活躍するのが、人工知能です。
人工知能は、データの中から傾向を見つけ出すというのは得意ですので、人間の代わりにデータの解析をやらせれば、短時間で傾向を見つけ出します。
人工知能が登場したことで、大量のデータを一度に解析することも可能になり、ビッグデータの活用に道が開かれたわけです。
高速で解析を行うための量子コンピュータ
ビッグデータを、人工知能を使って解析してやれば、いろいろなことが分かるようになってきます。
ただ、その次に問題になってくるのが、解析を行うためには、膨大な量の計算を行わないといけないということです。
もちろん、扱うデータが大きい上に、人工知能まで動かさないといけないわけですから、普通のパソコンでは手に負えません。
スーパーコンピュータを使ったとしても、計算結果が出るまでに何時間もかかってしまいます。(何十年や何百年かかるよりかはマシですが・・・。)
そこで、活躍が期待されるのが、超高速での計算が可能な量子コンピュータです。
実用化されるのは、まだ先ですが、量子コンピュータが使えれば、ビッグデータの解析は、一瞬で完了します。
ビッグデータ、人工知能、量子コンピュータの3つがそろえば、複雑な人生の法則を見つけ出し、意思決定に役立てるのが容易になるでしょう。
易は占いからデータサイエンスへ
昔は、恋愛や結婚などで相手との相性を診断するのに、占いはよく使われていました。
しかし最近では、マッチングアプリなどの登場により、自分に合っていそうな相手を、人工知能がデータをもとに探してきてくれるという時代です。
他にも、健康運や仕事運に関しても、遺伝子を調べたり、適性を調べたりして、ある程度の予測はできるようになってきているようです。
そのような背景もあってなのか、このブログ内で一番アクセス数の多かった占い関連の記事も、検索順位が落ちたわけではないのに、最近アクセス数が減ってきております。
変化するものの中に、不変の法則を見出し、それを人生に応用するというのが、易の基本的な考え方です。
ビッグデータ、人工知能、量子コンピュータの時代の到来によって、易は占いからデータサイエンスへと変わる時が来ているのかもしれません。