「起承転結」というと、一度は小学校の国語の授業で聞いたことがあるのではないでしょうか?
でも、具体的な使い方が分からずに、作文に生かせていないという人は、たくさんいます。
この起承転結の型を使えば、文章が書けるようになるだけでなく、思考力をアップさせることも可能です!
今回は、そんな起承転結の使い方について、ご紹介します。
【目次】
起承転結を使いこなせないのは、どうしてなのか
起承転結を使って文章を書くというのは、難しいことではありません。
小学校でも教えられていることなので、やろうと思えば、誰でもできるはずです。
まずは「起」の部分で書き出し、次に「承」の部分で、その内容を展開していきます。
さらに「転」の部分で、「だが」や「しかし」といった逆接の接続詞を入れた後で考えの方向を変え、「結」の部分で結論を述べて完成です。
ただ、このような教え方だと、あまりにも漠然としていて、どうすればいいのか分かりません。
「書き出しって、何を書き出せばいいんですか?」だとか、「承の部分で展開するって、どうすればいいんですか?」みたいな感じで、疑問が出てきます。
なので、起承転結の各部分で、具体的に何について書けばいいのかを明確にすれば、迷うことも無くなります。
今回は、起承転結に基づいた作文の型を、6パターン用意しました。
①起、②承、③転、④結の各部分に、どんなことを書くのかによって、いろいろとパターンができるというのが、おわかりいただけると思います。(この6パターンが全てというわけではなく、自分でオリジナルの型を作ろうと思えば、他にも作れます。)
このパターンに沿って作文してやれば、起承転結の型を使いこなせるようになります。
まずは気に入った型を使って練習して、作文の基礎を身につけましょう。
※「長い文章を書けるようになりたい!」という方は、まずはこの記事で基本となる型をマスターしていただき、その上で、こちらの記事をご参考にしてください。
学術論文の型
①背景
②分析
③考察
④結論
起承転結の型で書くことが多い文章といえば、学術論文のような真面目な文章です。
まず、これから扱う問題の背景について取り上げたうえで、次に、その問題点などを分析して、浮き彫りにします。
さらに、考察によって、その問題点について、どのようなことが言えるのか(原因、対応策など)についてまとめ、最後に、結論で意見をまとめます。
例文:
(背景)平均寿命が延び、高齢化が進んでいる。
(分析)そうなると、社会保障費が膨張するうえ、財産が若い世代に移転しにくくなる。
(考察)若い世代の負担を減らしたうえ、もっと若い世代にお金が回るようにしなければならない。
(結論)若い人たちが活躍できるようにしなければ、日本経済は停滞してしまう。
この書き方のパターンを身につけて、たくさん文章を作れば、思考力もアップしますので、覚えておいて損はありません。
読書感想文の型
①動機
②内容
③気づき
④感想
「読書感想文が、苦手だ!」という小学生や、中学生の子は、けっこう多いですよね。
ひたすら本のあらすじを書き写して、最後に一言「よかったです」で締めくくるという書き方をしている子も、多いのではないでしょうか。
読書感想文で、最初に書いてほしいのが、「どうしてその本を選んだの?」という動機です。(課題図書として指定された本について書くのであれば、その本を読む前に感じていたことなどを書きましょう。)
それを書いたうえで、どんな登場人物がいて、その人がどんなふうに変わっていくのかといった、その本の内容について、簡単に説明します。
次に、自分は、その本を読んで、何に気づいたのかや、どのように変わったのかについて書きます。
最後に、登場人物やストーリー、心境に変化のあった自分について、感じたことを書けば完成です。
例文:
(動機)『星の王子さま』は有名なお話なのに、小学校の頃から一度も読んだことが無かったので、気になって読んでみました。
(内容)主人公の王子さまは、いろいろな星を旅して、奇妙な大人たちに出会います。
(気づき)子供の純粋な心から見れば、大人って、こんなにもおかしく見えるものなんだと感じました。
(感想)「自分が大人として子供と接する時に、子供には、こちらがどんなふうに見えているんだろう?」と考えさせられました。
読書感想文というと、原稿用紙2枚か3枚程度を、ひたすら感想で埋めないといけないと思い込み、「そんなにたくさん感じたことは無い!」と書くのが嫌になる人が多いもの。
しかし、実際には、感想を書くのは最後の方のごく一部だけです。
大部分は、その感想に至るまでのプロセスについて書くということが分かれば、書くのが少しは楽になるかもしれません。
4コマ漫画の型
①設定
②始まり
③トラブル発生
④オチ
身近なもので起承転結の型が使われているものといえば、4コマ漫画です。
いきなり内容から入っても、初めての読者は何のことかよく分からないため、まずは場面設定から始めます。
登場人物や具体的な場面の情報を読者に伝えたら、次にストーリーが始まります。
後半に入ったところで、何かトラブルが発生し、最後に、そのトラブルの解決としてオチを入れます。
例文:
(設定)昔むかし、あるところに、おじいさんと、おばあさんがいました。
(始まり)おじいさんは、山に柴刈りに、おばあさんは、川に洗濯に行きました。
(トラブル発生)おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が流れてきました。
(オチ)驚いたおばあさんが、口をポカンと開けて見ていると、桃はそのまま、海へと流れていきましたとさ。(拾わんのか~い!)めでたし、めでたし。
真面目な文章ばかりでは面白くないという人も、こういった型で文章を書けば、楽しみながら上達できるのではないでしょうか。
相手の言い分に反論する型
①受け入れ
②検討
③反論
④主張
「起承転結なんて、国語の授業の作文でしか役に立たないんじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、実は、ビジネスでも役に立ちます!
それが、相手からの反感を買わないように、相手の言い分に反論する場合です。
いきなり反論をぶつけてしまうと、相手の反感を買うので、まずは相手の主張を受け入れます。
そうしたうえで、相手がどういったところに不満を感じているのかを分析し、相手の言い分をどこまで受け入れるのかを検討します。
それを踏まえたうえで、相手の言い分に反論し、最後にこちらの主張をして、相手の理解を求めます。
例文は、得意先から製品の価格について不満を言われたときの、営業担当者の反論例です。
例文:
(受け入れ)当社の製品が、他社に比べて圧倒的に高いというのは、ご指摘の通りです。
(検討)確かに、価格という点で比較するのであれば、メリットを感じていただけないでしょう。
(反論)しかし、ランニングコストまで含めたトータルの価格で見た場合、当社製品のメリットを、あらためてご理解いただけるはずです。
(主張)安いものを買って、結局、高くついてしまうよりも、トータルのコストという点で、ご検討いただければと思います。
「これは、交渉で使える!」と感じていただけたのではないでしょうか。
「起承転結=作文」という枠に縛られていたら、なかなかこういったアイデアは、出てきません。
いろんな場面で、起承転結の型を活用していきましょう。
問題の改善に役立つ型
①P(Plan)
②D(Do)
③C(Check)
④A(Action)
PDCAサイクルといえば、Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(改善)の4つの段階を繰り返していくことで、問題点を継続的に改善していく手法です。
社会人の方や、工学系の勉強をされている学生さんであれば、聞いたことがあるでしょう。
改善活動を行う上では、PDCAサイクルは、頻繁に出てきます。
これも起承転結の型に当てはめて考えると、最初に、どんな計画を立てたのかを述べます。
次に、それを実行した結果について述べ、その結果をチェックします。
最後に、それらを踏まえたうえで、次にどんな行動を取るべきなのかという結論を述べます。
例文:
(P)当初の計画では、生産効率を15%アップさせるのが目標でした。
(D)実際に、無駄な業務の見直しをした結果、生産性は、以前に比べて10%アップしました。
(C)しかし、無駄を削減するだけでは限界があり、仕事の進め方自体を見直す必要があります。
(A)さらなる生産効率アップのため、機械化できそうな部分はないか、検討しましょう。
この型は、うまく使いこなせば、ビジネスのプレゼンなどにも応用可能です。
改善提案などをする際に、ぜひ役立ててください。
未知なる事態への対応力を高める型
①観察(Observe)
②方向づけ(Orient)
③決定(Decide)
④行動(Act)
先ほどのPDCAサイクルと並んで、最近注目を集めるようになってきたのが、OODA(ウーダ)ループと呼ばれるものです。
OODAとは、観察(Observe)、方向づけ(Orient)、決定(Decide)、行動(Act)の頭文字を取ったものです。
もともとは、空中戦における戦闘機パイロットの意思決定過程を一般化したものでしたが、最近では、ビジネスにも応用されるようになってきました。
これも起承転結の型に応用すると、まず取り上げる対象を観察して分かったことを書きます。
次に、観察してみて、どんな方向性があるのかを見定めたうえで、方向性について最終的に決定を下します。
最後に、方向性が確定したところで、それに対してどのように行動していくのかを書いて完成です。
例文:
(観察)IT化や機械化が進んだことで、単純な仕事は、どんどんロボットに置き換えられるようになってきました。
(方向づけ)それに伴い、人間には、ロボットにはできないような仕事が求められるようになってきています。
(決定)これからの時代には、自分の頭で考え、行動し、自らの進むべき道を切り開いていけるような人材が求められるようになるでしょう。
(行動)そのような人材を育てるためにも、アクティブ・ラーニングと呼ばれる学びを、広めていく必要があります。
PDCAサイクルとOODAループは、似ているように見えますが、実は真逆の存在です。
PDCAサイクルでは、あらかじめ結果がある程度予測できるものを取り扱うのに対して、OODAループでは、結果がどうなるのか全く予測できないものを扱います。
なので、未知なる事態への対応や、これまでの常識にとらわれない発想を扱うには、OODAループを使った型が向いています。
起承転結を使って、思考力を鍛える
起承転結の型は、結論が最後に来るので、順番に従って思考を積み上げていくというプロセス思考を重視する人に向きます。
また、先に結論を示して全体をとらえるよりも、まずは細かい部分に着目してから全体をとらえようとするので、細かい部分にこだわる人に向きます。
起承転結の型には、このような特徴があるため、細かい部分までこだわって思考を掘り下げたい人には、お勧めです。
自分にピッタリの型を見つけて、思考力のアップに役立てましょう!