「もっとインパクトのあるプレゼンができたら・・・」
そう思ったことは、ありませんか?
どうもプレゼンは苦手で、聞き手の反応も、いつもイマイチだ、ということもあるでしょう。実は、「3」に徹底的にこだわれば、プレゼンのインパクトは爆発的に高まります!
今回は、プレゼンを成功に導く「3の法則」について、ご紹介します。
なぜ「3」が重要なのか
それでは、3の法則について具体的に解説をする前に、なぜ3という数字が大事なのかを、脳科学的に解説しましょう。
私たちの脳の中でも、前頭葉と呼ばれる部分には、記憶を一時的に保存するワーキングメモリ(いわば脳のメモ帳のようなもの)としての機能があります。
一時的に保持できる情報のまとまりのことをチャンクと言いますが、実はワーキングメモリの容量は意外と少なく、一時保持できる量は3つくらいのチャンクが限界だと言われています。
この3つを超えてしまうと、途端に記憶の混乱が起こってしまうんですね。
なので、とにかくアピールしようとして内容を盛り過ぎてしまうと、相手の記憶を混乱させてしまい、逆効果になってしまうわけです。
逆に、内容を1つや2つに絞り込むのはどうかというと、記憶には残りやすくなるかもしれませんが、物足りない感じが出てしまいます。
全体的なボリュームと記憶のしやすさとのバランスが一番取れているのが「3」なんですね。
成功するプレゼンは、3にこだわる
では具体的に、3の法則の中身について、解説していきましょう。
内容としては、3部構成にする、3つ並べる、3回繰り返す、の3つです。
これを意識するだけで、プレゼンのインパクトはグッと高まります。
3部構成にする
プレゼンでは、どんな話の流れでまとめようかは、迷うところ。
一番のお勧めは、3部構成にすることです。あまり欲張ってたくさんの内容を詰め込み過ぎてしまい、複雑な構成にしてしまうと、聞き手は混乱してしまうんですね。
3部構成ならシンプルで全体を理解しやすい上に、プレゼン全体にもリズム感が生まれます。
その代表例ともいえるのが、テレフォンショッピングのCMです。
まず「みなさん!こんなことでお困りではありませんか!?」と問題提起から入っていきます。続いて「そこで、ご紹介したい商品がコチラ!」と解決策の提示。最後に「今がチャンス!!」と消費者の決断をうながして終わるという流れです。
他にも3部構成には、過去、現在、未来というふうに時系列で話を展開したり、自社、他社、第三者と視点を変えて話を展開するといった使い方もでき、プレゼンの型としては、使い勝手がいいんですね。
3つ並べる
「人生には3つの坂がある。上り坂、下り坂、そして、まさか!」といえば、小泉元総理の名台詞ですよね。他にも流行語にもなった田中真紀子氏の「凡人、軍人、変人」といったフレーズも印象的です。
このように3つ並べることでリズム感が出てきて、記憶に残りやすくなるんですね。
また、3つという情報量は、先ほども書いたとおり、脳にとっては記憶されやすい分量です。
なので、要点を3つに絞ったうえで、「お伝えしたいことは、3つあります。第一に~。第二に~。そして、最後に~」と話せば、相手の記憶にも残りやすくなります。
3回繰り返す
人間の脳は、繰り返される情報を重要なものだと認識して、記憶しようとすると言われています。
逆に言えば、脳にとっては、たいしたインパクトもなくて、1回しか入ってこなかった情報というのは、ただのノイズだと認識されてしまい、消されてしまう可能性が高いということ。
なので、「これは、ぜひとも覚えて欲しい!」という情報があれば、プレゼンの中で繰り返し言った方がいいんですね。
ただ、むやみに繰り返してしまうと、聞き手はうっとうしいと感じてしまいます。
聞き手にうっとうしさを感じさせず、なおかつ、記憶に残してもらうために一番バランスが取れた回数というのが3回なんです。
どうしても覚えて欲しい内容があるときには、プレゼンの話の中で、さりげなく3回言うようにしましょう。
全てがそろったジョブズの伝説のスピーチ
ここまで記事をお読みいただければ、プレゼンはとにかく3にこだわることが大事だというのが、おわかりいただけたと思います。
でも、「実際にどのように使えばいいのか、まだハッキリイメージできない」という人や「本当にそれだけで、すごいプレゼンができるようになるのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。
この記事で紹介したテクニックを全て取り入れたのが、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で行ったスピーチです。
ジョブズはスピーチの冒頭で、「今日、皆さんにお伝えしたいのは、私の人生に基づく3つの話です」と述べた後、スピーチを3部構成で展開しています。
それぞれのパートの冒頭で、「最初のテーマは、点と点を結ぶことです」、「二番目の話は、愛と失意です」、「三番目の話は、死についてです」と、テーマをまず示すことで全体像がハッキリしていることもポイント。
こうすることで、何の話なのかがすぐにわかり、聞き手の頭の中にスッと入りやすいんですね。
3部構成にして、大事なテーマを3つ並べているわけですが、スピーチの最後には、ジョブズが伝えたいメッセージを3回繰り返しています。
それが「Stay hungry, stay foolish.(ハングリーであれ、愚か者であれ。)」です。
スピーチの最後という重要なところで、さりげなく3回繰り返して終わっています。
いかがでしょうか?
もちろんジョブズのプレゼンのうまさの秘密は、この記事で紹介した3の法則だけではありませんが、一つでもテクニックを身につけてそれを実践すれば、それだけジョブズのプレゼンに近づけます。
都合によりスピーチの全文を掲載することができませんでしたが、興味を持たれた方は、YouTubeで「ジョブズ 伝説のスピーチ」で検索すると出てきます。
スピーチの全文が欲しいという方は、こちらの[生声CD&電子書籍版付き] スティーブ・ジョブズ 伝説のスピーチ&プレゼンの書籍をお勧めします。