「どうすればいいのか、分からない」
「なんだか分からないけど、不安」
「本当にこれでいいのかと、悩んでしまう」
心の中のモヤモヤは、誰にでもあるもの。そんなモヤモヤした状態を解消できる、とっておきのテクニックがあります。
モヤモヤしてしまう脳科学的な原因と、その対処法をまとめました。その効果も実証されているテクニックとは・・・
【目次】
モヤモヤ感の原因とは?
仕事、お金、人間関係、恋愛、・・・悩みって、たくさんありますよね。スパッと解決できればいいのですが、たいていはそういうわけにはいきません。
いろんな要因や制限なんかがあって、「これだ!」と言えるような解決策が、なかなか見つからないということもあるでしょう。そんな時には、とりわけモヤモヤしてしまうもの。
「モヤモヤ」というと、まさに頭の中に霧がかかったようになってしまうような感じがするという人もいるのではないでしょうか。
このモヤモヤ感の原因は、脳が情報を処理しきれずにパンクしてしまうことにあるんですね。脳が一度に扱える情報の数は、7つ程度が限界であると言われています。
悩み事が深くなればなるほど、いろんな要素が複雑にからんできますから、あっという間に、この7つという限界を軽く超えてしまいます。
その結果、脳内での情報処理が追いつかずに、なんだかモヤモヤしてきたり、場合によっては、頭がフリーズしてしまい、何も考えられないというような状態になってしまうわけです。
モヤモヤを解消するテクニック
いくつものことを同時に考えるのは、けっこう無理があります。脳は一つしかない上に、同時に扱える情報は7つ程度までなわけですから、頭の中だけですべてを処理するのは、至難のわざ。
そこでお勧めしたい解決法が、悩みを書き出してみることです。悩み事を書き出すことで、悩みの全体像を見えるようにすることができます。
さらに、考えたことを書き出して、脳の外に取り出すことで、脳にかかる負担も軽くなるんですね。
同じことを何度も考え込んでしまい、なかなか前に進めないという人は、いったん考えたことを書き出して頭の外に出せば、頭の中が空くわけですから、他のことを考えられるようになります。
モヤモヤしたら、とにかく書き出してみるという方法は、よく紹介されているやり方でもあります。
ただ、なんとなく書き出しているというだけでは、書き出した内容が整理されずにグチャグチャになっていき、問題の解決にはつながりません。
そこで、イチ押しのテクニックが、小さな紙切れ(もしくは付箋紙)に書き出していくというやり方です。
並べ替えができるように、一つの紙切れに一つの内容を書くようにしていきます。
ある程度の枚数を書けたら、その内容ごとにグループ化させていけば、悩みがスッキリと整理され、どういったところが一番問題なのかや、解決の方法のめどが立つようになってきます。
このテクニックは、親和図とも呼ばれ、生産現場での問題解決にも、よく使われます。
とりわけ、考えないといけないことが多すぎて、「もはや、何が問題なのかすらも分からない!」という状況をなんとかするためのテクニックとして有効だとされています。
このテクニックの4つのメリット
問題点を整理するのに有効とされている親和図ですが、このテクニックを使うメリットが4つあります。
具体的に、どういった点で役に立つのかというと・・・
問題を客観視できる
頭の中だけで考えるとう状態では、悩み事について考えた時に、どうしても感情がわき上がってきてしまいます。不安や怒りといった感情が出てきてしまうと、その感情に振り回されてしまい、冷静に考えることが難しくなってしまうんですね。
でも、感じていることを書き出して、頭の外に出してしまうと、なんだかちょっぴり他人事のように感じるようになってきます。
感じていることを書き出して、少し自分と距離を置くようにすれば、感情に振り回されることなく、冷静に考えられるようになるんですね。
問題どうしのつながりが見える
悩みが複雑になってくると、何がどのようにつながっているのかが、見えにくくなってきます。ノートに書き出して整理するにしても、すぐにノートの中身もグチャグチャになってしまい、余計に頭の中が混乱してしまうことも。
しかし、親和図では、まずカードに感じたことを書き出して問題点を整理するので、書き出したことを、自由に並べ替えたり、グループ化したりといったことが可能なんです。
こうすることで、問題どうしのつながりが見えるようになり、何が一番問題なのかが分かるようになります。
他の人とアイデアを共有しやすい
「どうしても、一人で解決するのは無理!」ってこと、ありますよね。そんな時にも、この親和図は役に立ちます。
誰かに相談する時にも、親和図を見せながらアドバイスを受けた方が、相談相手も悩みの全体像を把握しやすいので、的確なアドバイスを行えるようになります。
もし、口頭で相談相手に話すだけなら、相談を受けた側は、頭の中で話の内容を整理しなければならず、結構面倒です。
その上、悩みを相談した側が言い忘れたことや、相談を受けた側が聞かなかったことは、完全にスルーされてしまうので、ヌケやモレが出てしまうんですね。
考えた内容を記録として残せる
頭で考えたことって、時間が経てば忘れてしまいますよね。そうなってしまうと、以前に悩んだのと同じようなことで悩んでしまい、「ぜんぜん前に進んでない!」ということになることも。
そこで、考えたことを記録として残しておけば、同じことをダラダラと考え続けて時間を無駄にしてしまうことはなくなります。
また、以前の自分がどんなことで悩んでいたのかを後から振り返ることで、自分の成長を実感できるようにもなるんですね。
以上が、親和図を使うことの4つのメリットです。
親和図は、作成に少し時間と手間がかかってしまうというデメリットもありますが、ちゃんと作り上げることができれば、モヤモヤを一発で解消できる強力なツールでもあります。
スッキリさせるための具体的な手順
それでは、具体的な親和図の作成手順について、説明していきます。
やり方としては非常に簡単で、ちょっとしたゲーム感覚でできてしまいます。
テーマの決定
まずは、どういったことでモヤモヤしているのかを把握します。
仕事なのか、お金なのか、人間関係なのか、あるいは、なんとなくモヤモヤするのか・・・。
何についてモヤモヤしているのかが分かれば、それをテーマとし、そのテーマに沿って、感じていることなどを整理していくことになります。
ここでは具体例として、「英語が話せない」ということでモヤモヤしていると仮定します。
カードに記入
テーマが決まれば、そのテーマに従って、感じたこと、身の回りの状況などの情報をカード(紙片や付箋紙など)に書き出していきます。
分量の目安としては、30個程度の項目を書き出してください。
テーマである「英語が話せない」に沿って、「積極的に話そうとしていない」、「話す機会がほとんど無かった」など、感じたことや状況について、思い浮かぶことを、カード1枚につき1項目で書き込んでいきます。
付箋紙に書き出してもいいですし、A4用紙を切り分けてカードを作るのであれば、A4用紙一枚から16枚のカードが作れます。なので、分量的には、A4用紙が二枚あればOKです。
最初の7個程度であれば、すぐに書き出すことができるかもしれませんが、20個や30個となると、思うように思い浮かばないという人もいるでしょう。
先ほども書きましたが、人間の脳が一度に扱える情報の数は7個程度が限界なわけです。
なので、最初の7個を書き出した時点で、やっと他の7個を考えられる余裕ができたということなんですね。
どうしてもすぐに思いつかないという場合には、少し時間を開けて書き出すようにしましょう。
分類してグループ化
30個程度の項目が集まれば、今度はそれをグループ化していきます。カードを見比べていき、「これは、似ている」だとか「関連性が高そう」と感じるものをまとめていきます。
グループの数としては、5つ~7つ程度になるように整理していくといいでしょう。
似たような項目を集めてグループ化し、そのグループにタイトルをつけます。
例えば、上記の図のように、3つの項目を集めて、タイトルを「話す練習不足」とつけるといった感じです。
あまりグループの数が多すぎると、複雑になりすぎてしまいますし、逆に、少なすぎても、問題の分析がうまくいきません。問題の全体像が見えやすくなるように、グループの分け方を自分なりに工夫してみてください。
グループどうしの関係をチェックする
グループの分類ができれば、次にグループどうしが、どういった関係にあるのかをチェックしていきます。そうすることで、問題の根源がどこにあるのかや、重点的に対処すべきことがあきらかになってくるんですね。
先ほどグループ化したものを、グループ間の関係も考えながら、以下に示す図のように並べて、間を矢印でつないでいくイメージです。そして、矢印のところに、グループ間の関係がどんなものであるのかを書き込んでいきます。
グループ化したカードを大きめの模造紙なんかに貼り付けてもいいのですが、それをするとけっこう大きくなってしまうので、私の場合は、カードの内容をA4用紙一枚に収まるように転記しています。
このようにして、項目をグループ化し、そのグループ間の関係がどうなっているのかを考えることで、問題の本質的な部分が見えるようになってきます。
問題点を整理する時のポイント
親和図と呼ばれるテクニックを使って、モヤモヤをスッキリさせる方法を解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
いつまでもモヤモヤを引きずってしまうのは、全部を頭の中で片付けようとしてしまっているからなんですね。
頭の中で一度に処理できることには限界があるので、どうしても目の前のことばかりに気を取られてしまい、なかなか解決策までたどり着けません。
しかし、悩みの全体像をつかめば、解決するのは楽になります。
例えて言うなら、迷路のようなものです。
迷路の中で迷ってしまい、「右に行こうか?それとも、左に行くのが、正解?」なんて考え込んでいても、正しい答えを出すのって、難しいですよね。
でも、上からながめて、迷路の全体像がどうなっているのかが分かれば、どのように進めばゴールできるのかが、一発で分かります。
悩みを解決するのもこれと同じで、まず全体像がどうなっているのかをハッキリさせることが、解決への第一歩なんですね。
全体像をハッキリさせる上で大事なのが、とにかく書き出してみること。
カードに記入する項目の数は、30個程度が目安だと書きましたが、あまりにも少なすぎると、全体像がぼやけてしまうので、なるべく30個程度は書けるようにしましょう。
逆に、あまりにもカードの枚数が多すぎてしまうと、問題を整理しきれずに複雑化させてしまいかねないので、とにかく書き出す枚数が多ければOKというものでもありません。
具体的な手順に従って、感じていることを書き出していき、整理してみましょう。
悩みの全体像が見えて、問題どうしがどのように関連しているのかが分かるところまでいければ、悩み事の半分は、解決できたも同然です。