やらなければならないことは分かっているのに、やるべきことを先送りにしてしまうのは、誰にでもあること。
でも、先送りにしてばかりでは、痛い目にあうことも。
後でバタバタすることになると分かっていても、ついついやってしまいます。
私の体験も交えながら、どうすれば先送りせずに済むのかをまとめました。
【目次】
先送りを防ぐための科学的なポイントとは
何度注意していても、先送りしてしまうクセが直らない。その原因は、心の持ち方よりも、脳にあります。
やるべきことを先送りにしてしまうのを防ぐ上で重要になってくるのが、脳の前頭葉と呼ばれる部分と、ワーキングメモリと呼ばれる部分です。前頭葉は、情報の整理、統合や意思決定を行う部分です。
先送りしてしまいやすい人は、この前頭葉の働きが弱いので、すぐに身の周りが散らかってしまったり、やる気が思うように出なかったりするんですね。
また、ワーキングメモリという部分は、パソコンのメモリに相当する部分で、一時記憶をつかさどる部分です。このワーキングメモリの働きが弱いと、物事を同時並行で処理することができません。パソコンでもメモリの容量が小さいと、同時にたくさんの情報を処理できないので、動きが鈍くなるのと同じです。
一つのことをやると、同時にやろうとしていた別のことをやり忘れるということが起こったりします。
先送りしてしまいやすい人は、普通の人と違って、脳にこのような問題があるせいで、やるべきことを効率よく片付けることができないんですね。
これらのことを踏まえると、先送りを防ぐためには、前頭葉とワーキングメモリに負担をかけないようにすることがポイントになってきます。
それでは具体的に、前頭葉とワーキングメモリに負担をかけないようにするにはどうすればいいのかを解説していきます。
①身の回りのモノとやるべきコトは少なくする
先送りを防ぐために、まずやるべきことは、身の回りはスッキリとシンプルにすること、そして、欲張っていろんなコトに手を出さないようにすることです。
やるべきことを先送りしてしまっているということは、処理しきれない量をかかえてしまっているということなんですね。
モノを増やし過ぎてしまうと、整理や片付けに時間が取られてしまいますし、モノを無くしてトラブルになるということもあります。使ったものは、ちゃんともとの場所に戻すようにしましょう。
いつもと違う場所において置くと、置いた場所を覚えておくために、脳のワーキングメモリを無駄に使ってしまうんで、よくないんですよね。なので、モノは少なくしたうえで、置き場所をちゃんと決めておけば、探し物に時間を取られる心配もありませんし、脳にかかる負担も少なくて済みます。
また、モノを少なくするだけでなく、やるコトも必要最小限にすることも大事です。SNSばかりやってしまったり、交流も大事だからと、あちこちの集まりに顔を出していたら、時間がいくらあっても足りなくなります。
先送りしてしまいやすい人は、多動だったり、いろんなことに興味を持ってしまい、あちこちに手を出してしまったりするんで、気が付けば、やりたいコトだらけの状態になってしまうんですよね。
モノやコトに振り回されてばかりだと、だんだん疲れてきて、動きが遅くなり、余計に先送りが増えるという悪循環に。「自分に本当に必要なものって何?」ということを考えましょう。
②いちいち考えない
次に大事なポイントは、いちいち考えないようにすること。人生を左右するような重大な決断なら考えてから行動しないといけませんが、たいしたものでもないなら、どうしようかなんて考えずに、すぐにやってしまうことが大事です。
やる気って一瞬で無くなってしまいますから、やろうかどうか迷っているだけで、結局やらずに先送りしちゃうんですよね。どうしようか迷っているだけ、時間のムダです。だから、やる気が出たら余計なことは考えずに、すぐに取り掛かれるようにしましょう。
この時に注意すべきなのが、余計なものが視界に入らないようにすることです。脳は、余計なものを見てしまうと、一瞬にしてやる気をうしなってしまいます。マンガ、ゲーム、テレビのリモコンなど、見てしまっただけで誘惑に負けてしまい、やるべきことを後回しにしてしまいます。
こういうものは、身の回りを整理した際に、目のつかない場所に移しておきましょう。必要があったら、すぐに取り出せるようにしておけばOKです。
③一つのことに集中するようにする
同時並行で物事を処理するのは、一見して効率がいいように見えます。でも本来、脳はマルチタスクには向かないんですよね。
二つのことを同時にやろうとすると、それだけ集中力も分散してしまうので、ミスのリスクが高まり、やり直しなんかしていると、逆に時間がかかってしまったりします。それに、先送りしてしまいやすい人は、脳のワーキングメモリと呼ばれる部分の働きが弱いことから、無理に同時並行で片付けようとすると、頭がフリーズしてしまいます。
だから、やることをためこんでしまわないようにするためには、同時並行で片付けるんじゃなくて、一つ一つに集中しながら、ミスの無いように着実に片づけていくのがポイントです。
④オーバーキャパにならないようにする
やたらと時間がかかってしまいそうだったり、ちゃんと片づけられるか不安だったりするものは、どうしても先送りにしてしまいますよね。特に、先送りしてしまいやすい人は、不安を感じやすいという面があるので、すぐに片づけられる自信のあるものでないと、なかなか手を付けられません。
自分の能力をオーバーするようなものが多くなってくると、先送りばかりして、やることをため込んでしまいます。
そうならないためにも、やるべきことは難易度が高くならないように、調整する必要があります。難易度を下げるような工夫をしたり、それが無理なら、いくつかに分割して処理していくなどして、オーバーキャパにならないようにしましょう。
自分の力で無理なく片付けられる自信があり、どれくらい時間がかかりそうなのかも事前にある程度わかるという状態にすることがポイントです。
⑤ToDoリストで管理する
先送りしてしまいやすい人って、段取りを組むのが苦手だし、優先順位をうまく決めることができないんですよね。頭の中で予定をくみ上げようと思っても、前頭葉と呼ばれる、情報を整理し、意思決定を行う部分の働きが弱いので、うまくいかないんです。
そんな時に役に立つのが、ToDoリスト。自分のやるべきことを、いったん全部紙に書き出して、どんな順番でやれば一番効率がいいのかをチェックします。ちゃんと紙に書き出しておけば、やり忘れなんかも防げます。
効率よくやるべきことを片付けていけるので、先送りが減らせるんですね。
ただ一つ、注意しないといけないのが、リストにのせていない用事を突発的に思いつくこと。特に、あまりやる気がしないタスクを片付けようとすると、部屋の掃除をしようだとか、買い物に行こうなど、急ぎもしない、すぐに片づけられそうな用事を思いついてしまいます。
そうなってしまうと、どうでもいいような用事ばかりを片付けてばかりで、本当にやらなければならない大事なことが先送りになってしまうので、注意が必要です。他人が関わっているような用事なら、早めに片付けたほうがいいかもしれませんが、そうでない場合には、ToDoリストの一番下にでも書き加えて、他の優先することを片付けるようにしましょう。
⑥途中まで手を付ける、少しずつ片付ける
どうしても片づけるのに時間がかかってしまう面倒なことをやらなければならないのであれば、一度に全部を片付けようとせずに、まずは少しだけ手を付けた状態にするのをお勧めします。
全部を片付けるのに時間がかかりそうだと、見通しが立ちにくいので、なかなかやろうという気が起きません。でも、少しだけでも手を付けておけば、一部を片付けるのにかかった時間から、全体を片付けるのに必要な時間を見積もることができるんですね。そうなると、終わらせるのにどれくらい時間がかかりそうか分からずに不安だということは、なくなります。
さらに、ツァイガルニク効果といって、わざと中途半端な状態で残すことによって、やるべきことに対するやる気を持続させ、次回に続きをやる際に、スムーズに取りかかれるようになります。ちょうどテレビのバラエティ番組やアニメなんかで、よく大事なシーンの直前になってCMが割り込んでくる、アレです。大事なところで中断されることによって、「続きが気になる!」と思わず見てしまいますよね。
時間がかかりそうなことは、とにかく後回しにしてしまうのではなくて、まずは少しだけやってみるというのが、大事です。まとめて一気に片付けようとすると、面倒くさいという心理的なハードルがありますが、少しだけやるんだったら、たいして苦になりませんよね。
先送りグセには、科学的なやり方が一番よく効く
先ほども書いたように、先送りグセの原因は、脳にあります。なので、いくら自分で気を付けようと思っても、精神論ではどうにもならないんですね。
無理に気合を入れて、なんとかしようとすればするほど、思うようにうまくできない自分が嫌になってしまうので、精神論では逆効果。私も、だらしのない自分が嫌だったし、周囲からやることが遅いだのと指摘を受けて、つらい時期もありました。
でも、先送りの原因が脳にあるんだったら、科学的なやり方で対処するのが一番だって分かりますよね。
今回は、実際に私が試して効果があったものをまとめました。科学的なやり方で、先送りグセを克服しましょう!