何かを人間にたとえて表現する擬人法は、国語の授業で習う表現技法のひとつです。
「小鳥が歌う」や「空が泣いている」といった表現を詩や小説で見たことがあるという人も多いでしょう。
ところが実際に自分でも使ってみようとなると、使いどころがよくわからなくて困ってしまうことも多くあります。上手く活用できずに文章がなんだか幼稚に見えてしまったり、そもそもなぜ人間にたとえるのかという疑問がわいてきたりするといったことはないでしょうか。
擬人法は、上手く使えば詩や小説だけでなく、広告やSNSでも力を発揮する強力な表現技法です。
今回は、なぜ人間にたとえるのかという点を科学的に解説しながら、擬人法を効果的に活用するためのポイントについて紹介していきます。
擬人法とは
まずは、擬人法とはどんな表現技法なのかということや、他の比喩表現との違いについて理解しておきましょう。
擬人法とは
擬人法とは、人間以外の物や生き物を人間にたとえる表現技法です。
身近な存在である人間にたとえることで、特徴や雰囲気をつかみやすくなったり、躍動感を与えて文章を生き生きしたものにするといった効果があります。
詩や小説で使われることが多い擬人法ですが、擬人化するという表現方法は文学だけのものではありません。イラストでもよく、無機物だったり抽象的だったりするものを擬人化して表現して、なんとなく特徴や雰囲気がわかるようにするということがあります。
例えば、周期表の元素を擬人化したものや、物理の単位を擬人化したものをまとめた本があったりします。元素の擬人化では、水素は一番軽い元素なので、見た目がゆるふわな感じで描かれるといった具合に、特徴が擬人化によってわかりやすく表現されています。
あるものの特徴だけではなく、雰囲気を伝えるのにも擬人法は使えます。後で表現の具体例でも紹介しますが、擬人化させたものに泣くや笑うといった感情を出させることで、悲しい雰囲気やたのしい雰囲気を出したり、何か人間的な動きをさせることで躍動感を演出するといったこともできます。
このように、特徴や雰囲気のイメージを親しみやすい形で伝える時にも、擬人法は大活躍します。
直喩や隠喩(メタファー)との関係
擬人法は、比喩表現の中の一つです。比喩表現の中には他にも、直喩と隠喩(メタファー)があります。
比喩表現の見分け方としては、まず人間にたとえられているものであれば擬人法となります。人間にたとえられていないもののうち、「まるで~のような」というような言葉を使って比喩であることを明示しているものが直喩です。比喩であることを明示せずにたとえていれば、隠喩(メタファー)です。
あるものを人間にたとえると擬人法ですが、逆に人間を物などにたとえると、それは擬人法にはなりません。例えば、計算スピードの速い人を「あの人は、まるで計算機だ」と表現すれば直喩になります。「まるで」の部分が抜けて比喩であることを明示していなければ、隠喩(メタファー)になります。
比喩表現の中にある、擬人法、直喩、隠喩(メタファー)の三つの中で、どういうわけか擬人法は別格のような扱いになっている印象があります。それだけ人間にたとえるという表現方法は、ある物を別の物にたとえる表現方法に比べると、特別なものであるということがうかがえます。
それではなぜ、人間にたとえるやり方が特別な表現方法となるのかを、これから解説していきます。
そもそもなぜ人間にたとえるのか
人間でもないものを人間として認識しようとするのは、よく考えてみると不自然な行為です。
ところが、私たちの日常生活の中でも、壁にできたシミや木の板の木目が人の顔のように見えることがよくあります。こうした現象が起こる理由を解き明かしてくれるのが、進化論をベースに人間の心の働きを説明しようとする進化心理学と呼ばれる学問です。
進化心理学では、人間でないものを人間として認識してしまう理由として、以下のように説明しています。
人間を始めとした動物は、想像する力を身につけたことで生き残った、と言っても過言ではない。目の前で直接体験していない事柄についても、想像により考えられるようになった。その思考のおかけで、新しい事態に直面しても、必ずではないがそこそこ有効な行動を取ることが実現できたのである。
さらに人間では、人間関係について想像する社会的知能が進化した。これによって人間は、集団での協力を成立させ、飛躍的な発展をなしとげた。社会的知能は、コミュニケーション相手が意図をもつものとみなして、相手の意図を探ろとする。当初の自分が想定していなかったような相手の意図を、コミュニケーションの過程から抽出する。その過程は、かなり高度な想像力が要求される。
しかし、社会的知能が広く発揮されると、人間ではない物体にも過剰に意図を見出すおそれがある。鬼や妖精などは、本来人間がもつべき意図が、想像上の架空の存在に与えられた結果である。意図をもつ存在が擬人化されて、鬼や妖精などとして立ち現れてくる現象は、想像力がよく働いているあかしと見ることもできるのだ。
『人はなぜだまされるのか 進化心理学が解き明かす「心」の不思議』、石川幹人著、p114
このことを踏まえると、擬人化は、社会的知能によってもたらされたものと言えます。相手の意図を想像する能力というのは、集団の中で生きていくためには重要なものでした。社会的知能の働き過ぎにより人間でないものを人間として見てしまうことがあるというのは、高度な想像力を身につけたことによる副作用とも言えます。
意図を見出そうとする働きによって擬人化が起こるということは、逆に擬人化すれば、そこに意図を感じるようになるという見方もできます。
以上のことから、擬人法は、あるものを擬人化させることによって受け手に意図を伝えようとする表現技法であると考えることができます。
擬人法を使った表現の具体例
擬人法は、擬人化することで読者の注意を物に対して向けることができるようになるだけでなく、使い方によって様々な効果を発揮します。
ここでは具体例をあげながら、どのような表現ができるのかを解説していきます。
雰囲気を伝える表現
一般に擬人法は、人間以外のものを人間に見立てることで、その動作や性質、状態などを生き生きと表現するものですが、それだけではなく雰囲気も表現することができます。
例えば、以下のような例です。
例1 あたり一面のチューリップ畑に降り注ぐ日差しは、まるで太陽が微笑んでいるようだった。
光の強さを表現しようとして直接的に「やわらかな光」と表現すると、ちょっと空が曇っていて太陽からの光がいくぶん遮られているような光景をイメージする人も出てきます。空全体が晴れわたっていて、穏やかな光が降り注いでいる様子を表現したいのであれば、このように「微笑んで」と表現することで、うまくその様子を表現できます。
また、「まるで太陽が微笑んでいるようだった」と表現することで、笑顔の人がそばにいる時のような和やかな雰囲気も伝えることができます。
擬人法を使えば、細かく描写すると長くなってしまいがちな特徴や雰囲気といったものを、このように短い言葉で表現することができます。
状況や心理の描写
小説では、登頂人物の内面を表現する心理描写がよく行われます。擬人法を活用すれば、こうした心理描写を効果的に行うことができます。
以下の例2でいうと、「空が急に泣き出した。」の部分が擬人法です。
例2 大学生だった夏の日の、突然のお別れ。空が急に泣き出した。傘は持っていない。
最初の方の「大学生だった」という部分からわかるように、主人公は当時大学生という設定です。大事な人との別れがあったといっても、もう十分に大人な大学生が子どものように泣くというのは少し不自然です。表向きは不意に降りかかった不幸に毅然と立ち向かっていく様子をこれから描こうとするのであれば、何かを使って内面では泣いていたという悲しみや不安を表現する必要があります。
「傘」は、急に降りかかってきた不幸から身を守ってくれるものを表現したメタファーです。そうしたものを持っていないというわけですから、かなり大変な状況だったということを暗に読者に伝えることができます。
登場人物の内面や置かれている状況をあまりにも細かく直接的に読者に示してしまうと、それは小説というよりも、もはや説明文という状態になってしまいます。
擬人法を使って心理描写をすれば、このように登場人物の内面をさりげなく表現できます。
躍動感の演出
擬人法が活躍するのは、詩や小説の中だけではありません。
以下に示す例3のように、広告宣伝でも活用することができます。
例3 秋が、バーゲンを連れてくる
単純に「秋物バーゲン開催中!」とも表現できますが、それではただの情報伝達で終わってしまいます。情報がポツンと点のように存在するだけで、躍動感というものは感じにくいものです。
買う気が満々の人であれば反応してくれるかもしれませんが、そうでない人にとってはワクワク感やドキドキ感がなく、「ふ~ん」程度で受け流されやすくなります。
ところが、例3のように擬人法を使って表現すると、まるでお祭りのパレードがやって来るかのような躍動感が出るようになります。秋が深まるにつれて、お得な新作アイテムがどんどん運ばれて出てくるかのようなイメージが浮かび上がってくる人もいるのではないでしょうか。
これならそんなに興味の無い人でも、「面白そうだから、行ってみようかな」という気になりやすくなります。
こうした広告は、通常であれば「50%OFF!」のようなお得感を前面に出した、「今買っておかないと損ですよ」ということを感じさせる煽り文句がよく使われます。そうした煽りの表現を使い過ぎてしまうと、逆に広告を見る側は、「なんかだ買わないといけないような気がして、圧を感じる」と嫌気がさしてしまうことがあります。
このような「煽り」に対して、例3のような「祭り」のような雰囲気を醸し出す表現をすれば、ワクワクなイベントといった感じを出すことができます。
ドラマチックな表現
擬人法は、明るい文脈の文章の中で使うと、メルヘンチックになりやすいものです。一方で、シリアスな場面で使えば、ドラマチックにもできます。
例4 冷たく重厚な鉄の扉は、刑期の終えた一人の年配の男が出て来るのを待っていた。
「重厚な鉄の扉」や「刑期」という言葉から、刑務所の中の場面だということが読み取れます。重厚な鉄の扉が、「閉ざされていた」のではなく人が来るのを「待っていた」と擬人法を使って表現することで、同じ動かない様子を表現するにしても擬人法を使った方が生き生きとした感じがします。
また、鉄の扉が擬人化されることで、読者が鉄の扉の視点で物語の風景を眺められるという効果も期待できます。読者の中には、登場人物の誰かに感情移入して、その人の視点で物語の世界を見るという人もいます。擬人化された鉄の扉に感情移入すれば、まるで鉄の扉に取り付けられた監視カメラを通してドラマの世界を見るように物語の世界に入り込むことができます。
例文の「待っていた」という動詞も、実は重要です。待つということは、これから何かが起こるのを知っていて、その場でじっとしているということです。つまり、近い将来に何かが起こるということを暗示しています。「その時」が来るまでの緊張感や期待感などといった雰囲気を表現することもでき、時が来ればどうなるのかという読者のドキドキ感やワクワク感を引き出せます。
このような一文を小説の出だしで使えば、読者を物語の世界へ引き込むことができます。
おもしろい表現
擬人法は、人間以外のものを人間にたとえることでコミカルに表現できる技法でもあります。
まずは、ネットでよく見かける表現を見てみましょう。
例5 Google先生
これは見たことがあるという人も、多いのではないでしょうか。
検索エンジンであるGoogleを、聞けば何でも的確に答えてくれる先生にたとえたものです。
SNSでは、たまに「Google先生の余計なお節介のせいで、見たくないものを見てしまった!」という不満の声を見かけることがあります。
一方で、最近ではアダルトなコンテンツを含むサイトに対する評価も厳しくなっているようで、そのようなサイトは検索順位を落とされるとか。
そのような真面目な一面も含めて、まさに「Google先生」といった感じです。
Google先生は、機械を擬人化した例ですが、次は動物を擬人化した例を見てみましょう。
例6 おじさんカンガルー
こちらは、動物園で飼育されているカンガルーのことです。昼間に地面に寝そべって、リラックスしながらお腹のかゆいところをボリボリかいている様子が、休日のおじさんにそっくりです。そのため、「おじさんカンガルー」と呼ばれるようになり、メディアで話題となりました。
このカンガルーに缶ビールでも持たせたら、完璧なまでに「おじさん」といった感じがします。どこか人間っぽい動物というのも、親しみが持てるのではないでしょうか。
こうした短くて、面白くて、インパクトのある表現は、SNSとの相性が良いものです。上手く表現できれば、バズにつなげることも期待できます。
擬人法のメリット
これまでの表現例を見て、なんとなく擬人法にはどんな効果があるのかが理解できたのではないでしょうか。
それではここで、擬人法のメリットについてまとめてみましょう。
物に対して感情がわくようにできる
擬人法の一番の特徴は、人間以外のものを人間にたとえることです。とりわけ物を人間にたとえると、物に対して感情がわくようになります。
感情がわくということは、その感情の対象に対して意識が集中するということでもあります。とりわけ物を擬人化することにより、読者の意識がその物に向かうようにすることができます。
また感情は、行動を起こさせる原動力にもなります。動きのないものを擬人化させて動きを持たせることで躍動感を出し、読者がワクワクやドキドキを感じることができるようにすれば、読者の行動をうながせるようになります。
その他にも、「Google先生」や「おじさんカンガルー」の例のように、物や生き物に対して親しみを持てるようにするという効果もあります。
少ない言葉で細かい描写ができる
これは擬人法に限らず比喩表現全般に言えることですが、少ない言葉で伝えたいことを伝えられるようになります。
人間の動作を表す言葉や、気難しい、怒りっぽいといった性格を表す言葉、堂々とした様子を表す王様や優雅で気品にあふれた状態を表す貴婦人といった言葉が多くあります。こうした言葉は、たいていどれも馴染みのあるものです。こうした馴染みのある言葉を使って擬人化することで、長々と描写して特徴などを説明する必要もなくなります。
とりわけSNSの世界では、共感が重要視されるだけでなく、長々とした文章は読み飛ばされてしまう可能性が高いものです。親しみを出しながら短い言葉で表現することが可能な擬人法は、上手く使いこなせればネット上での広告宣伝でも力を発揮することが期待できます。
物事をドラマチックに表現しやすい
擬人法をうまく活用すれば、雰囲気を演出したり、心理描写をしたりすることで、文章をドラマチックに仕上げることができます。読者の感情に強く働きかけ、読者を作品の世界へ引き込むことができます。
逆に、説明文的で感情が何も働かない文章がダラダラと続いてしまうと、読者の集中力はすぐに切れてしまいます。特に最近ではタイパ重視の傾向もあって、読み始めて数秒以内に感情が動かなければ「読んでも時間の無駄」と判断されて離れて行ってしまうということが起こりやすいものです。
擬人法を作品の中に上手に取り入れて表現することができれば、雰囲気を演出できるようになるだけでなく、読者の興味をひきつけるのにも役立ちます。
擬人法のデメリット
擬人法は、うまく使いこなせば受け手の感情に強く働きかけることができる強力な表現技法です。
一方で、以下のようなデメリットもあります。
抽象的で伝えたいことがわかりにくい
これは擬人法に限らず比喩表現全般に言えることですが、表現が抽象的で書き手が何を伝えたいのかということがわかりにくくなりがちです。
言いたいことを直接的に表現するのではなく、人間にたとえるという回り道をすることで柔らかな表現になるものの、どうしても何を言いたいのかという点がぼやけてしまいがちになります。
比喩表現は書き手にとっては、何かにたとえることで伝えたいことを1から10まで全て説明しなくてもよいというメリットがあります。書き手が自分で全部説明するよりも、受け手の想像力や空気を読む力に頼っているという一面があります。
抽象的な内容から受け手がイメージを膨らませて解釈していくという面があり、人によってどのように解釈するのかは、個人間でばらつきが出やすくなります。そのため、擬人法が使われるのは詩や小説、広告宣伝といったクリエイティブな分野が中心になります。
明確な結論が求められ、客観性というものが重視されるビジネスでのやり取りにおいては、擬人法は向きません。
効果的に使いこなすには知識や経験が必要
これも擬人法に限らず比喩表現全般に言えることですが、効果的に使いこなそうとなると、それなりの知識や経験が必要になってきます。パッと思い浮かぶということもありますが、意識的に使おうと思うと、たくさんの知識や経験がベースとして必要になってきます。
とりわけ、「何か面白い表現を思いつきたい!」と思うなら、発想力も必要になってきます。発想力も誰でも簡単に身につくというものではなく、普段からいろいろと試行錯誤しながら鍛えていくということが重要になります。
また擬人法は、使い過ぎてしまったり、使い方がまずいと、文章が幼稚な印象になりかねません。どの部分でどのように使うのが効果的であるのかを知るためには、詩や小説で使われている表現例をいろいろと学ぶことも重要になってきます。
ASDの人には伝わりにくい
人間以外のものを人間にたとえる擬人法は、誰に対しても使えるというものではなく、ASDの人とは相性があまり良くありません。
ASDの人の頭の中では、「人は人、物は物」というように明確に区別して認識される傾向があります。そのため、物が人のように振る舞うという状況は、ASDの人にとってはわかりづらいものになります。直喩のように比喩であることを明示して表現してもらえば、すぐに理解できるかもしれません。しかし、隠喩のように比喩であることを明示せずにいきなり擬人法で表現されると、状況を理解できずに混乱するということになりかねません。
また、ASDの人は、空気を読むのが苦手です。雰囲気という目に見えないものを感じ取って理解することに困難さを抱えているため、擬人法を使って雰囲気を伝える場合には、ASDの人にはうまく伝わりません。
さらにASDの人は、言われたことを文字通りに受け止めてしまう傾向や、視覚的なイメージによって物事を理解する傾向もあります。そうした状態で「太陽が笑ってる」と表現されると、太陽の表面に人が笑っているように見える模様が浮かんでいるといった視覚的なイメージとして受け止めてしまうという可能性があります。
擬人法をうまく使うには
擬人法を使いこなせるようになると、詩や小説の創作において、よりレベルの高いものを作れるようになります。また、短い言葉で面白い表現ができることを活かして、SNSでも使うことができます。
ここでは、擬人法を使いこなすためのポイントについてまとめます。
人間の動作や特徴などを表現する言葉を多く知っておく
擬人法は、人間ではないものを人間にたとえる表現技法です。そのため、あらかじめ人間の動作や特徴といったものを表す言葉を知っておくというのが必要になります。
「泣く」や「笑う」といった感情が出た時の動作を表現する言葉は、悲しみや楽しさといった雰囲気を伝えたり、登場人物の心理描写にも使えたりします。また、「連れてくる」や「目覚める」といった動詞も、躍動感を表現するのに使えます。
その他にも、「怒りっぽい」や「気難しい」といった性格を表現する言葉や、堂々とした振る舞いのたとえに使える「王様」や、優雅で気品のある雰囲気を表現できる「貴婦人」といったような状態を表現できる言葉も使えます。
「Google先生」の場合にも、「先生」がどんな特徴を持ったものなのかを理解していることが重要になります。質問すれば素早く的確に答えてくれ、アダルトなものや暴力的な表現にはNGを出してくるという真面目さが、「先生」という言葉とぴったり重なるということに気づければ、擬人化をしようとした時にGoogle先生という表現がパッと思い浮かぶはずです。
雰囲気にも着目して考えてみる
擬人法を使って表現しようと思った時に、読者に伝えたい雰囲気に着目して、それにぴったりな表現を探すというのも一つの手です。
一例として挙げるのであれば、すでに紹介したように、
和やかな雰囲気を表現したいのなら「太陽がほほ笑んだ」
悲しい雰囲気を表現したいのなら「空が急に泣き出した」
という感じです。
「おじさんカンガルー」の場合にしても、カンガルーが寝そべってお腹をボリボリかく様子を見て、「ん?この光景、どこかで見覚えが・・・」と休みの日のお父さんの雰囲気とその姿が重なれば、こうした表現も思い浮かぶことができるはずです。
他の人はどんなふうに擬人法を使っているのかをよく観察する
擬人法に限らず、こうした表現技法のやり方を学ぶだけなら一日でできます。しかしながら、表現の世界には、絶対的な正解というものがありません。それゆえに、どう表現したらいいのかという迷いも出やすいものです。
そういう時には、他の人がどんな表現をしているのかをよく観察してみるということも大事です。「これは上手い表現だ!」と感じるようなものを集めて、ネタ帳を作っておくと参考になります。ある程度ネタが集まってくると、自分でもアイデアがひらめきやすくなります。
擬人法は、使いこなせれば強力な効果を発揮できる反面、使い方がまずいと文章が幼稚なものに見えてしまうという、ちょっとクセのある表現技法です。クリエイティブな世界で表現力を磨きたいという方は、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。