人間関係の問題は、どこへ行っても避けるのが難しいものです。とりわけ、多くの人が集まるような組織やコミュニティの中では、一方的に嫌がらせをしてくるような人や他人の言うことを全く聞き入れようとしないような人と出くわしてしまうこともあります。
とりわけ問題になりやすいのが、「モラハラ」をしてくる相手です。そんな相手に対して、言い返してやりたいという気持ちはあっても、トラブルになるのも困るという方も多いのではないでしょうか?下手に言い返してしまうと、余計にひどい状態になってしまうということにもなりかねません。
また、世の中には自分の考えや価値観に固執してしまい、他人の言うことを全く信用しないという人も多くいます。そんな人に対して無理に考えを変えさせようとすると、激しい抵抗に遭ってしまうこともあります。
「モラハラを注意してやりたいけど、トラブルになるのは嫌だ」「自分の考えに固執する人をどうにか説得したい」
そんな時に役立つ表現技法が、今回紹介する「反語」です。
【目次】
反語とは
反語は、それ自体がちょっとわかりづらい部分のある表現技法です。まずは、反語の概要について押さえておきましょう。
反語とは
反語は、他の表現技法と同じように国語の授業の中で習うものです。他の表現技法は詩について扱う授業で習いますが、反語は漢文について学ぶ時に学習します。中学校に入ってから学ぶものであるため、他の表現技法に比べると馴染みが無く、存在感も薄いかもしれません。
他の表現技法は小学校で習うことが多いのに、どうして反語だけは教えるのが後回しになってしまうのか?その理由として考えられるのが、理解して使いこなすにはある程度頭が良くないといけないこと、また、内容的にもネガティブなものが多いため、教育の現場で積極的に教えるようなことではないことが挙げられます。
国語の授業で反語について解説があるものとしては、漢文について学ぶところで「いずくんぞ〇〇〇や」という形で習ったという人も多いはずです。
反語には、二つのタイプがあります。
一つ目が、断定を強めるために、言いたいことの肯定と否定とを反対にし、かつ疑問の形にしたものです。
漢文のところで習うのが、まさにこのタイプです。このため、反語と聞くとこちらのタイプをイメージしてしまう人も多いかもしれません。
そして、反語のもう一つのタイプが、表現したいこととは真逆のことを言いながら、真意をほのめかすものです。
日常のコミュニケーションにおいて特に役に立つのが、こちらのタイプです。ただし、こちらは学ぶ機会というのは、あまりありません。先ほども少し触れたように、ネガティブな内容を相手に伝える場合に使われることが多いためです。表向きはポジティブな表現をしていても、伝えようとしている内容はネガティブなのです。
具体的にどんな表現になるのかは、後で解説していきます。
皮肉との違い
皮肉は、遠回しに意地悪く弱点などを突くことです。皮肉は、反語と似ていて言いたいことと逆のことを言うものですが、皮肉は主に相手を否定したり批判したりすることを目的としています。
皮肉の一例としては・・・
・遅刻してきた人に「すいぶんと早く来ましたね」 → 意味:来るのが遅い奴だな!
・大きな失敗をした人に「大活躍されたそうですね」 → 意味:ポンコツなんじゃないの?
・・・といった感じです。
反語では、ネガティブなことを直接言うと相手をイラっとさせてしまうので、トラブルを避けるためにも意図的に逆のことを言います。これに対し皮肉は、相手をさりげなく攻撃するものです。
反語の具体例
それでは、どんな表現があるのかを見ていきましょう。
反語がよく登場するのが、京都弁です。京都の嫌味な言い方というのは、よく知られていますね。
まずは京都弁から見ていきたいと思います。
例1 えらい元気な人やねぇ。
文字通り解釈するなら、元気があることを褒めている言い回しです。言われる側も、これが反語の表現であると気づかないと、褒めてくれているんだと勘違いして「ありがとうございます!」とか言ってしまいそうですね。
この言い回しが使われる状況としては、何人かで集まっている中で一人だけ騒がしい人がいて、その人に注意するようなケースです。直接的に「うるさくて迷惑なんで、静かにしてもらえませんか?」と言ってしまうと、ちょっと雰囲気的に気まずくなってしまいかねません。
騒がしくしてしまっている本人も、もちろんわざとやっているわけではありません。何かに熱中するあまりつい騒がしくなってしまったということも多いものです。そうした人に自分の行動について気づかせて自制をうながすのが、この言い回しです。
もちろん京都の人ではなくても、似たような言い回しで、「元気ですねぇ」と言えばOKです。その際に、ちょっとあきれた感じの表情や態度で言うというのがポイントです。言葉で言いたいことを直接伝えるというよりも、非言語的コミュニケーションによって伝えるという感じです。
例2 お忙しいんと違いますの?
あまり関わりたくないのに、どういうわけか向こうから一方的に絡んでこようとする人も世の中にはいたりします。そんな相手に対して、「邪魔だから、向こうに行ってください」などと言ってしまうとトラブルになってしまいます。
「関わりたくないから、こっちに来ないで欲しい」という時(特に職場において)に使えるのが、この表現です。文字通りに解釈するのであれば、「あれ?忙しいはずなのに、どうしてこんなところに来てるんですか?よっぽどヒマなんですか?」となりますが、言いたい内容としては「こっちへ来るな!」です。
言われる側としても、嫌そうな顔をされて「邪魔だから向こうにいってもらえます?」と言われるよりも、イラっとすることは少ないでしょう。
それでは次からは、京都弁以外で日常でどんな言い回しがあるのかを見ていきましょう。
例3 いつまでそんなことするんですか?
相手に対して何かやめてもらいたいことがある時に使える言い回しです。表向きには「いつまで」と期限を聞いていますが、中身としては「そんなことは、さっさとやめてくれ!」ということを遠回しに伝える表現です。
直接的に「もうやめてください」と言ってしまうと、角が立ってしまうことがあります。言われた人は、自分がやっていることを否定されたと思い込み、攻撃されたと感じて反発してくるかもしれません。そうなれば相手は意固地になってしまい、余計にやめなくなってしまいます。
相手側としても、やめたくてもやめられない事情があることだってあるでしょう。そんな時に命令口調でやめるように言われると、言ってきた相手に「何もわかってないくせに」と腹が立ってしまうこともあります。
ちょっと余談ですが、じつはこの言い回し、反語的に相手にやめることを求めているだけでなく、他にも無意識的な誘導も含んでいます。それが、相手の同意を取ることなく、「やめる」ということが前提になっていることです。「いつまで?」と期限を聞かれて、うっかりそれに具体的な期限で答えてしまうと、やめることを受け入れたことになるんですね。こうしたテクニックを使えば、相手に抵抗されることなく交渉をスムーズに進めやすくなります。
例4 それで間違いないと断言できるでしょうか?
コンサルが社長に向かって言いそうなセリフですね。社長と呼ばれるような人は、我が強い人も多くいます。自分の価値観や考え方を他人に押し付けがちになりやすく、他者から意見されたり何かを指摘されたりするのを嫌がることも多くあります。
そんな社長に向かって「それ、おかしいんじゃないでしょうか?」などと言おうものなら、いくらそれが善意で指摘したものであっても、「俺の言うことにケチをつけるのか?」と反感を買ってしまうということになりかねません。
そこで、反語の出番です。言いづらい指摘を遠回しに表現して伝えます。
例文のような言い回しでは、表向きには間違っているとは一言も言っていません。「間違っている可能性もあるのでは?」と遠回しに考え直すことを求めることができます。
例5 ここまで努力してきて、できないなんてことがあるでしょうか?
反語と言うと、嫌味や皮肉といったネガティブなイメージも強いものですが、この例文のようにポジティブな内容のものもあります。
この例文は先ほどとは逆で、なかなか動こうとしない相手の背中を押すものです。
動きたがらない相手を無理やり命令で動かそうとしてしまうと、命令に従いたくないという心理も働いてしまいます。そうなると相手は、余計に動かなくなってしまうということになりかねません。
逆に、「あなたなら出来る!」という応援も、ちょっと強引なところがあります。自分に自信が持てないという人であれば、尻込みしてしまう可能性もあります。
そこで、反語を使ってポジティブな圧が強くなり過ぎないように間接的にアプローチすることで、相手の背中を優しく押すということができるようになります。
例6 どれほど多くの人が、嫌な思いをしていることか。
こちらは、疑問形にすることで文の意味を強めるという使い方の一例です。
この例文の意味としては、「嫌な思いをしている人が、たくさんいるんだぞ!」です。
迷惑行為をする人に向かって、直接的に「みなさん、迷惑してるんですよ」などと伝えてしまうと、人によっては反発してきてトラブルになります。
一方で、言いたいこととは逆のことを言うという他の反語の言い方をすると、ちゃんと伝わらずにスルーされることもあり得ます。「嫌味を言われた」と感じてしまえば、態度をあらためないことにもなりかねません。
そこで、この例文のような疑問形にすることで、「反省してくださいね」ということを間接的に伝えられるようになります。
例7 誰に向かって言ってるんですか?
これはSNSなどで、たまに見かけることがある言い回しですね。実際に見たことがあるという読者の方も多いのではないでしょうか。
内容としては、攻撃的な言葉を投げかけられた時に「おいおい、ケンカする相手を間違えてるぞ」と言うことを遠回しに伝えるものです。
SNSでは相手の顔が見えづらく、相手がどういった人なのかわりにくいことも多いものです。そのため、知ったかぶりの素人が専門家にケンカを売るようなことをしてしまうことがあります。
ただここで、ケンカを売られたからといってそのまま応戦するようなことをしてしまうと、泥沼にはまり込んでしまう可能性があります。ケンカは、同じレベルの人の間でしか起こらないと言われています。トラブル回避のためにも、うかつに相手と同じ土俵に立ってしまわないようにするということが重要です。
そこで、例文のように「誰に向かって言ってるんですか?」と言うことで、相手より一段上に立つことができ、面倒な争いに発展していくのを防ぐことができます。
反語が効果を発揮する仕組み
どうして言いたいことと反対のことを言ったり、疑問形にしたりするのでしょうか。それが理解できていないと、反語を使ってみようという気になれないという方も多いはずです。
それではここで、反語が効果を発揮する仕組みを心理学を交えながら解説していきます。
遠回りすることで反発を回避
反語では、言いたいことを直接表現しません。本来言いたいこととは反対のことを言ったり、疑問形にしたりします。
「回りくどい言い方で相手に空気を読ませるよりも、直接言った方がわかりやすいし、手間も省ける」そう思う方も多いのではないでしょうか。そういったことから、使わないという人も多いものです。
いちいち遠回りをする目的は、これまでに何度か触れているように、トラブルを回避するためです。多くの人は、感情で動くものです。ネガティブな言葉を直接相手に伝えてしまうと、やはり相手としては多少イラっとしてしまうことがあります。
ネガティブな言葉を直接言ってしまうと、こちらに悪意は無かったとしても、言われた相手は「攻撃された」と受け取ってしまうことも出てきます。ちょとしたすれ違いからやり取りがエスカレートしてしまい、激しい罵り合いや殴り合い、さらには裁判にまでいくようなことになれば、かなり面倒です。そんな面倒なことにならないようにするためのものが、反語です。
例文では、京都弁の言い回しを解説しました。京都と言えば、平安時代から都が置かれ、貴族文化が根底にあります。貴族は汚い言葉を使ったり、暴力に訴えるといった野暮なことはしません。反語を使えば、表向きは落ち着いた感じに振る舞いながらも、裏ではネガティブなことを相手に言うことができるわけです。
バックファイア効果を回避
反語には、もう一つ重要な目的があります。それが、「バックファイア効果」を回避することです。
バックファイア効果とは、自分が持っている価値観や信念と矛盾するような情報が与えられた時に、自分の考えを訂正するどころか、かえって信念をより強固なものにしてしまう心理現象です。
周囲から反対的なことを言われると、意固地になってしまうという人も多くいます。そんな相手を説得しようとして真正面から反対意見をぶつけてしまうと、バックファイア効果の影響をもろに受けてしまうことになります。説得がうまくいって考えを変えてくれるどころか、余計に自分の考えに固執するようになってしまうわけです。
反語を使って間接的なアプローチをすれば、バックファイア効果の影響を回避することができ、説得の成功率が高まります。
疑問によって理性的な思考が働く
ネガティブな言葉というのは、どうしても負の感情を生じさせてしまいやすいものです。とりわけ、相手に怒りや嫌悪といった負の感情が生じてしまうと、トラブルになりやすくなります。
出来る限り感情の影響を受けないようにするには、どうすればいいのか?その有効な方法が、質問するような形にすることです。人は質問されると、無意識的にその答えを探そうとします。その時に、答えを考えようとして理性的な思考が働くようになることで、感情が出過ぎてしまうのを押さえることができます。
好き・嫌いの感情に流されてしまうと、どうしても理性的な判断が難しくなります。ネガティブな感情でのやり取りでは、争いに発展しやすいものです。
疑問形の反語を使って理性的な思考が働くように促すことができれば、負の感情の発生を抑制でき、まともな話し合いがやりやすくなります。
自分の頭から出てきた考えは受け入れられやすい
自分にとって馴染みの無いものや外から来たものというのは、たいてい異物として認識されやすいということが多くあります。異物として認識されてしまえば、当然ながら排除されてしまいます。
ネガティブな言葉や反対的な意見というのも、まさに言われた人にとっては異物のようなものであり、簡単に受け入れられるものではありません。
その一方で、自分の中から出てきたものは、異物として認識されません。したがって、「自分にとって有害かどうか」というチェックをスルーして、簡単に受け入れることができます。
反語において直接言わないというのは、こうした効果を狙っているという一面があります。
たとえば、遅刻してきた人に向かって「遅刻ですよ!」と直接言ってしまうと、角が立ちやすくなります。
一方で、「ずいぶん早く来ましたね」と反語で言うと、どうなるでしょうか?相手としては、(ん?遅れてきたのに、どういう意味だろう・・・あっ、遅刻しないでくださいって意味か!)と無意識的に頭の中で考えます。この「遅刻しないでください」という解釈は、言われた側の頭の中から出てきたものです。直接言われたわけではありません。そのため、反発心もあまり起こりません。(言う時の非言語的コミュニケーションも、非常に重要になります。安堵した表情で言えば、頼むから遅刻しないでくれよと優しく注意していることになります。逆に、怒っているような様子で言えば、遅れてきたことへの怒りをぶつけている皮肉ということになります。)
疑問形の反語も、同様です。質問されて自分の頭の中から浮かんできたものは、自分で考えたものなので本人にとっては受け入れやすくなります。
反語のメリット
反語の仕組みについて知ったところで、反語を使うことでどんなメリットがあるのかを見てみましょう。
感情的な衝突を避けられる
反語を使うことの大きなメリットは、感情的な衝突を避けることができることです。面と向かってネガティブなことを言われれば、誰でも多少はイラっとしてしまいます。
人間関係のトラブルの多くは、たいていほんの小さなことがきっかけです。思わず感情的になっていってしまうと、大きなケンカになりかねません。
どうしても言い返してやりたい、あるいは、ネガティブな内容のことを言わないといけない状況にある場合には、反語を使ってネガティブな言葉をポジティブに変えることで、衝突が起こりにくいようにすることができます。
エレガントに表現できる
反語の強みが、ネガティブな内容を含みながらもエレガントな表現ができることです。もし暴言を吐き散らすようなことをしてしまえば、周囲の迷惑になるだけでなく自分の格も下げてしまうということになりかねません。
少し余談にはなりますが、『BLEACH(ブリーチ)』という漫画に登場する愛染惣右介というキャラのセリフで、有名な名言があります。
「あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ」
—BLEACH、愛染惣右介
※注:「遣(つか)う」と表記されていますが、「使う」と同じ意味です。
(ちなみに私は、原作は読んでません。そんな私でも知ってるくらいの名言です。)
たしかに、オラオラな感じで強い言葉を吐き散らしていると、「虚勢を張っているのではないか?」と見られてしまうこともあります。
一方の反語は、まさにこの逆。一見すると弱そうに見えますが、実は強いという感じの言葉です。余裕を漂わせることができるというのも、反語の強みです。必死に煽ろうとしてくる相手に対して余裕をかませば、相手はペースを乱されて調子が悪くなっていきます。
ケンカになってしまうのを回避するためには、相手と同じ土俵に立たないということが重要になります。反語を使った言い回しは、相手より上に立ちながらも、ケンカ腰なやり取りをせずに済みます。
説得力が向上する
誰かを説得しようとする時には、真正面からのアプローチでは、反発されてしまう可能性が高まります。反語は、直接注意したり命令したりするわけではないので、反発を回避することにつながります。
説得がうまくいかなくなるケースというのが、相手が「自己決定権を侵害された」と感じてしまうような場合です。人は、自分のことは自分で決めたいと思うものです。(自立心の強い人は特に)
反語を使って直接的な表現を避けることで、相手に「自己決定権を侵害された」と感じさせずに済みます。そうすることで、こちらの説得を受け入れてもらいやすくなります。
反語のデメリット
嫌な相手にうまく言い返すことができ、面倒な相手を説得するのにも役立つ反語ですが、もちろんデメリットもあります。
わかりにくいことがある
反語の面倒なところが、その「わかりにくさ」です。反語は直接的ではなく、回りくどい表現です。こうした間接的な表現は、衝突を回避するには役立ちます。一方で、伝わりやすさというのは、どうしても犠牲になってしまいます。
相手が空気を読める人なら問題ありませんが、空気を読めないような人が相手の場合には、気づかれずにスルーされたり、「それ、どういう意味ですか?」と聞き返されたりする可能性があります。
言われたことを文字通りに受け取ってしまうような相手に対しては、こちらが期待するような効果は期待できません。
嫌味だと受け止められてしまう可能性がある
相手を傷つけないように気を遣って遠回しに注意したつもりでも、言い方や相手によっては「嫌味を言われた」と思われてしまうことがあります。
反語には嫌味な表現もたくさんあるので、相手に「これは嫌味だ!」と思わせてしまう部分があるのも仕方がない面もあるでしょう。
反語は、ちょっとチクチク感のある部分も持った表現でもあります。相手との関係を大切にしたいのであれば、使う時には注意が必要です。
相手との心理的な距離を生みやすい
反語を使えば、上品さを演出できる部分はあります。一方で、その上品さが相手から見た時に、かえって上から目線のように感じてしまうことがあります。どことなく冷たさであったり、よそよそしさが出てしまったりすることも多くあります。
また、遠回しな物の言い方によって心理的な距離を生んでしまうこともあります。自分と相手との間に心理的な壁を作ってしまい、「どうしてはっきり言ってくれないのか?」と相手を困惑させてしまうことがあります。
むやみに周囲の人に反語を使ってしまうと、かえって自分自身が孤立してしまうことにもなりかねません。
反語を使う時のポイント
ここまでの解説を読んでもらってもわかるように、反語はポジティブなシーンで使われることが少なく、使い方によっては攻撃的な内容を含んだものになります。それゆえに、国語の授業でも、漢文での強調表現以外はほとんど教えないということが多いようです。
もちろん、むやみやたらと使うのはNGで、ここぞという時に限定して使うべきものです。反語は使い方を間違えば、自分もダメージを受けてしまうという諸刃の剣でもあります。
おそらく反語が最も役立つシーンというのが、モラハラをしてくる相手に対応するような場合でしょう。
モラハラをするような人は、一般に自己肯定感が低く、他人を否定することで自分が優位に立とうとします。他人を傷づけることで影響力を行使し、それによって自分という存在を確認しているという一面があります。そうしたことから、モラハラに対して過剰に反応してしまうと、向こうは「おおっ!効いてるぞ」と喜んで、余計に絡んでくるということになりかねません。
そこで、反語が役に立ちます。直接的に言い返すのではなく、反語で間接的な表現にすることで、相手の攻撃を受け流します。攻撃を受け流された相手としては、「なんだ、効いてないぞ!どうなってるんだ?!」と心の中に焦りが生じるようになります。そうしたやり取りを何度か繰り返していれば、相手は嫌がって遠ざかっていくようになります。
いかがでしょうか?以上が、反語についての解説です。
このブログでは、実践的なコミュニケーションに重点を置いていますので、こういった学校教育では取り上げにくいことも解説することがあります。反語は、他の表現技法と違って積極的に使っていきましょうというものではなく、あくまでトラブル回避のための非常手段として考えていただければと思います。