パンフレットには絶対に掲載されない税理士試験のリアル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

税理士試験の体験談の第3弾!(これで最後にします。)

 

今回は、税理士試験がどんな試験なのかを、全く受験したことのない人向けに解説していきます。

 

学校のパンフレットでは、なかなか分からない特殊な一面もありますので、この記事を参考にしてみてください。

どんな試験なのか

 

 

大学入試のノリはNG

 

 

国家試験と聞くと、大学入試やセンター試験と同じようなものをイメージされる人もいると思いますが、実際には、全く違ったものです。

 

大学入試では、とにかく他の人よりも難しい問題を解き、高得点を取りさえすれば合格できます。

 

成績が上の人から順番に合格していくイメージなので、分かりやすいでしょう。

 

しかし税理士試験では、全国公開模試で上位にランクインしていたにも関わらず不合格になってしまったり、普段の実力テストの成績があまりよくないにも関わらず合格するというケースがあります。

 

とにかく問題集の問題を解きまくって、難しい問題にも対処できるようにするという発想は、この試験には通用しません。

 

その理由が、傾斜配点と呼ばれる特殊な採点のやり方をするからなんです。

 

 

傾斜配点という特殊な配点方法

 

 

市販の問題集なんかでは、どの問題にも同じように点数が振られています。

 

しかし、税理士試験の傾斜配点では、どの問題にも同じように点数が振られるというわけではなく、ほとんどの受験生が正解するような問題ほど、大きな点数が振られるというシステムになっているのです。

 

これこそが、大学入試と同じノリで行くといけない理由です。

 

大学入試とは、真逆だからです!

 

大学入試では、解くのが難しい問題に高い配点が振られていることがあるため、難しい問題を解ける人ほど、合格しやすいわけです。

 

しかし、税理士試験では、この傾斜配点というシステムのせいで、基本がしっかりできている人は合格しやすく、基本をおろそかにして難しい問題ばかりに手を出してしまう人は、不合格になりやすいということになってしまいます。

 

実際に、私は簿記論と財務諸表論を受験した際に、基本的な問題は絶対落とさないように丁寧に解答することを心がけて合格しました。

 

一方、直前演習で私よりも成績の良かった人を二人知っていますが、この二人は不合格でした。(ちょうどこの回は、簿記論、財務諸表論とも合格率が20%くらいあったにも関わらずです。)

 

傾斜配点というシステムを知らずに苦しみ続ける人は多くいますので、ご注意ください。

 

 

出題ミスがあっても問題にならない

 

 

大学入試では、毎年のようにどこかの大学が出題ミスをして、その度ごとに新聞などで報道されます。

 

しかし、税理士試験では、出題ミスがあっても誰も何も言いません。

 

私が受験した回の簿記論を例に挙げると、社債発行差金についての記述問題があったり、減損処理を期中でやらせるような感じの問題が出ていました。

 

社債発行差金は商法時代のもので会社法では関係がないし、減損処理も減価償却の計算がすべて終了してからでないとやらないため、期中でやっているのはおかしいわけです。

 

ただ、出題ミスがあったからといって、周囲が騒いで出題者がバシバシ叩かれるようなことがあると、税理士試験の試験委員を引き受ける先生がいなくなってしまいます。

 

大学入試も税理士試験も、人生を左右する大事な試験ですが、税理士試験で出題ミスが問題にならないのには、そういう事情があるのでしょう。

 

 

難易度はばらつく

 

 

大学入試では、難易度がある程度一定になるように作られていますが、税理士試験では、試験委員によって、かなりばらつきます。

 

特に、新しい試験委員の先生が担当された場合には、まだ問題作りに慣れていないせいもあり、問題は難しくなる傾向があります。

 

私も法人税法で経験がありますが、計算問題を担当する実務家の先生が変わったとたんに、異常なまでの難しさになりました。

 

その先生は初めて担当するということで気合が入りすぎたのか、問題が難しくなりすぎてしまい、通常は30点前後ある計算問題の合格ボーダーラインも、その回は10点弱でした。

 

それでも一定数の人は合格するわけですから、どこかで配点の調整が行われているはずです。

 

大学入試では赤本を使って過去問の研究をしますが、税理士試験では、試験委員によって傾向がばらつくので、過去問研究は大学入試の時ほどの効果はありません。

 

受験期間はどれくらいなのか?

 

 

パンフレットには2年で合格を目指すコースなどが紹介されていて、本気を出せば2年で合格できるような印象を受けます。

 

じかし、実際にはそんなに簡単に合格できるような試験ではありません。

 

とある講師の先生から聞いた話ですが、その先生は15年間講師の仕事をしていて、2年で合格できた人を見たのは、たったの二人だけとのことです。

 

しかも、その二人は両方とも主婦の方で、旦那さんがすごい理解のある人だったらしいです。

 

それでは、平均的な受験期間はどれくらいなのかというと、私が事務所でもらってきた税理士会の会報に7年と書かれてありました。

 

ただ、平均値はとびぬけた値の影響を受けやすいという性質があるため、なんとも言えません。

 

あくまで私の感覚ですが、3~5年程度で合格できる人と、長期化させてしまい10年以上かかる人とで二極化しているのではないかと思っています。

 

短期間のうちに決着がつけばいいのですが、それができなければ、結婚して子供ができただの、仕事が忙しくて勉強時間が確保できないなどと、思うように身動きが取れなくなってしまいます。

 

さらに、年齢的な体力や記憶力の衰えや、モチベーションの低下などにより、時間の経過とともに合格するのが難しくなってくるという問題もあります。

 

合格するまで徹底的に粘るのか、それとも、ある程度がんばって結果が出なければあきらめるのかは、その人次第です。

 

学校を利用して勉強した場合の合格率は?

 

 

税理士試験は、独学で勉強して合格できるような試験ではありません。

 

毎年の試験委員対策や法改正の内容の把握などを考えると、学校で勉強していないとしんどいわけです。

 

ノウハウを持った学校の指導を受けて、しっかり勉強していればなんとか合格できるはずと思いたいところですが、そう簡単にはいきません。

 

実際に学校を利用して合格できる人は、全体の8%程度です。

 

その学校のその年の合格者数をパンフレットに記載されている受講者アンケートの母数で割ると、近い数字が出ます。(とある講師が、学校で勉強して最終的に合格できるのは、全体の8%程度と言っていたのを聞いたこともあります。)

 

つまり、残りの92%の人たちは、毎年高い授業料を払って勉強していたにもかかわらず、途中で力尽きてしまうんです!

 

勉強したことが無駄にならないように、万が一、途中で挫折してしまった場合には、学んだことをどこでどのように生かすのかということも考えておいた方がいいと思います。

 

勉強時間は?

 

 

パンフレットの時間はあてにならない

 

 

学校のパンフレットには、各科目の合格に必要な勉強時間の目安が記載されていますが、この時間は、全くと言っていいほどあてになりません。

 

どんな根拠に基づいて算定された時間なのかはよく分かりませんが、あの時間をもとにして学習計画を立てると、痛い目にあいます。

 

学校側の説明では、本試験の合格に必要な最低限の知識を身につけるのに要する時間とのことです。

 

要するに、あれよりも短い時間で合格することは、まずあり得ないということなのです。

 

 

基本は1000時間(一日3時間)

 

 

それでは、具体的にどれくらい勉強すればいいのかというと、基本的に一科目あたり年間で1000時間です。

 

簿記論の講師が、一日に3時間、年間で1000時間勉強すれば合格できるということを言っていたのを聞いたことがあります。

 

また、学校の説明会で、法人税の講師が、法人税法に合格できる勉強時間は、感覚として1000時間と言っていました。

 

つまりは、たいていの科目は、1000時間は勉強できないと合格できないよということなのです。

 

ただし、これも最低限度の勉強時間であって、個人の勉強のやり方や能力によって、かなり変動します。

 

 

分量はどれくらい?

 

 

勉強時間がある程度分かったところで、今度はどれくらいの分量があるのか気になるところでしょう。

 

実際に私がもらってきた教材を積み上げてみると、写真のようになります。

 

 

ただし、これが全部ではありません。

 

途中で勉強を放り投げてしまった科目もあり、教材を全部もらっていないので、これよりもさらに増えます。

 

さらに、市販の問題集や法規集は含まれていないので、これらも入れると、二段積み上がっている横にさらにもう一段積み上がるようなイメージです。

 

 

ネックは理論の暗記と理解

 

 

勉強で一番時間がかかりそうなのが、理論暗記です。

 

難しい言い回しの条文なんかを丸暗記しないといけないため、かなり手間がかかります。

 

暗記するのが苦手だという人には、かなりつらい勉強でしょう。

 

どの科目も、本を一冊丸暗記することが求められるため、暗記が得意な人と苦手な人とで、勉強時間に差がでやすいところです。

 

私も初めて理論暗記の勉強をしたときには、「一言一句レベルで本を一冊丸暗記させるなんて、正気なのか?」と思ったくらいです。

 

さらに、暗記した後にも、その知識をどうやって使うのかということも考えないといけないため、その勉強にも結構な時間がかかります。

 

 

科目の組み合わせは期待できない

 

 

学校のパンフレットでは、科目の組み合わせによっては、内容が重なる部分があるため、勉強時間を節約できるというようなことが書かれてあったりします。

 

しかし、いくら内容が重なっている部分があるといっても、実際には、ほんの少し理解がしやすくなるといった程度です。

 

勉強時間を劇的に減らすような効果は期待できないので、あまり過信しないほうがいいですよ。

 

科目選択で気を付けること

 

 

酒税法はやめよう

 

 

まず初めに言っておきます。酒税法を取るのは、やめましょう。

 

なぜこのようなこと書くのかというと、私自身が過去に痛い目にあいかけたからです。

 

会社員時代に税理士試験の受験を考えていて、受講相談に行きました。

 

その際に、とある講師から、勉強時間の確保が難しいなら、酒税法もありかもしれないみたいなことを言われました。

 

しかし、受験専念の期間を経て、税理士事務所に転職すると、所長からは「酒税法だけは、やめてな」と言われました。

 

 

理由を聞くと、「20年間実務をやってきて、一度も見たことが無い」からだそうです。

 

しかも、酒税法を取ってしまうと、試験のシステム上、消費税法を受験できなくなってしまいます。

 

実務での重要性を考えるなら、消費税法を取るべきでしょう。

 

講師のアドバイスを鵜呑みにして酒税法を取ってしまっていたら、「なんでこんなの取ったの?」と言われてしまい、痛い目にあっていたところです。

 

 

相続税法のえげつなさ

 

 

実務での使用頻度を考慮した5科目のスタンダードな組み合わせは、簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法、相続税法の5つになります。

 

たいていの人は、簿記論、財務諸表論、消費税法 → 法人税法 → 相続税法という風に進んで行くでしょう。

 

これを見ても分かるとおり、相続税法は、会計科目に合格し、さらには法人税法にも合格した人たちの間で競争して、合格率が10%弱なわけです。

 

他のどの科目も合格率は10%弱ですが、数字の重みが全く違います。

 

激しい競争を勝ち抜いてきた人たちの間でさらに競争するわけですから、相当ハードです。

 

パンフレットの合格率をなんとなく眺めているだけでは、そのえげつなさが全く伝わってきません。

 

 

ミニ税法という科目

 

 

えげつない相続税法を取ることをあきらめて、ボリュームの少ないミニ税法をとるという人も多くいます。

 

しかし、ミニとは言っても、合格に必要な勉強時間は、1000時間もあります。

 

勉強の範囲は少なくて済むのですが、本試験では満点近い点数をとらないと合格できず、わずかなミスも許されません。

 

結局、完成度を高めるためにたくさん勉強しなければならず、ミニと言っておきながら、必要となる時間と労力は、まったくミニではないんです!

 

まとめ

 

 

今回も、体験に基づいてあれこれ書かせていただきました。

 

パンフレットには、基本的にいいことしか書きません。(学校側は顧客を増やしたいので、当然ですが。)

 

だからと言って、受験生が何も知らないまま講座を申し込んでしまい、後になって後悔するということがあってもいけないと思います。

 

ちゃんと良いところと悪いところの両方を知ったうえで決断すべきです。

 

一個人の体験談でしかありませんが、人生をかけた重大な決断のお役に立てていただければ幸いです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

プロフィール&ご挨拶

コメントを残す

*